不動産投資において「未来予測」が崩れやすい理由

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給料や子の問題などで「予測」は簡単に崩れる・・・

見た目や感性を優先する「住み心地優先の選び方」に対して、もう一つ「資産価値としての選び方」があります。これはよく週刊誌などで特集が組まれる「資産価値としての選び方」とはやや意味合いが異なります。

昭和の高度経済成長の時代と比べ、家族に対する考え方も変わってきています。たとえば、今は離婚する人の割合(当年の離婚件数/当年の婚姻件数)は、1990年の22%前後から35%を超えるようになり、つまり、3組に1組は離婚する状況になっています(厚労省人口動態調査より集計)。さらに、50代、60代の熟年世代の離婚も2~3倍以上になっています(厚労省および国立社会保障・人口問題研究所の調査などより)。

そして、世界に先駆けて高齢化社会となった日本の将来の街のあり方は、今までとは当然異なってきます。すでにコンパクトシティの政策が実行されている都市も存在します。また、私たち団塊ジュニアより下の世代が住宅購入適齢期ですが、親の世代である60歳を超えた団塊の世代は昔の老人とは違います。車も運転します。

さらに、雑誌ではファイナンシャルプランナー(FP)がローンの支払い可能額などの算出をしていますが、不動産購入の本来の意味を理解せず支払いのことのみで語るので、どれもピントがズレて現実離れしています。

今の給料の想定が崩れず、会社が永続的に今の給料モデルを変更しないといいきれる人は、今や日本にほとんどいないでしょう。最近では一人っ子が多く子どもの問題もデリケートなため、父親の転勤では単身赴任を選択しても、子どもの問題で引っ越して転校する家庭も増えています。

要は、将来の資産価値を考える購入時の未来予測は崩れやすいということなのです。

転売や賃貸に出せる「資産性」を持つ不動産を選ぶ

右肩上がりの高度経済成長期に住宅購入適齢期であった団塊の世代の購入法則は、現在の購入法則とは決定的に違います。とりあえずマンションから購入して戸建てにステップアップするといった考え方は、今ではよほど余力のある人か、運のいい人以外はむずかしい選択肢となっています。

「入り口をくぐる前に出口を確認しろ」とは、現在、想定できなくても、いずれ売ったり貸したりしなければならない可能性は、だれでも考えておくべきということです。

「そんなことまで考えたら、家は買えませんよ」
「ご主人!ご家族のために思い切って決断してください」

なんてセリフを真に受けて買ってしまったら、本末転倒です。家は、住み心地だけを満たすものではありません。子どもの教育費その他、お金は以前よりもかかります。だからこそ、所有している家が資産となるか、重い荷物となるかは非常に重要な問題なのです。

本来、ここは代理人の腕の見せどころでもあります。それぞれの人が資産価値をどのように考えるかは市場動向や相場の変動、住人の家族状況の変動など、さまざまな要素によって変わってくるので、どれが優先する目的かを見極めて提案していくことに、腕の見せどころがあるのです。

このケース・バイ・ケースの課題に対して、ここで私が提案できるのは、「どんなことがあっても、売却や賃貸などに回して自分たちが動ける物件を買う」ということです。

住み心地という感性を優先するよりも、何があっても転売や賃貸に出せる資産性。このことを判断するむずかしさは、実は「結婚相手を探すとき」のむずかしさに少し似ています。

本連載は、2012年9月10日刊行の書籍『不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?』からの抜粋です。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事のコラムニスト

大友健右
大友健右(株式会社総研ホールディングス代表取締役社長)
株式会社総研ホールディングス・株式会社ウチコミ・株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役社長。1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。
ウチコミ!創設者
大友健右は収益物件の個人間直接売買ができるプラットフォーム「ウチコミ!」の創設者です。