不動産投資家から見た「民泊」

民泊

最近、当社で取引しているオーナー様から民泊について質問を受けることがありましたので、私の見解を示したいと思います。最近は業界紙のみならず、一般新聞でも民泊が大きく取り上げられているので、ご存じの方も多いと思われます。 現政権の成長戦略の中で、観光立国実現を掲げ平成42年(2030年)には訪日外国人旅行者数が3000万人を超えることを目指しています。ここ1-2年の円安を追い風に昨年で2000万人近くの外国人が日本を訪れています。

ここで問題になっているのが宿泊施設の確保であり、首都圏や大阪圏のホテル稼働率は90%以上と逼迫しており、外国人はもとより一般ビジネスマンもホテルが取りにくくなっている状態です。そこで注目を集めているのが民間住宅を訪日外国人向けに貸し出すことです。(民泊)

諸外国では、民泊というのは一般的になっており、メジャーウェブサイト「Airbnb」を始め、貸したい人と借りたい人を容易にマッチングすることが出来ます。こうした流れを受けて、一般賃貸住宅を民泊用に転用して運営しようという機運が不動産投資家の中にも出てきています。不動産投資を考えるうえで、一般的な賃貸住宅として貸し出しよりも、民泊用として貸し出した方が投資利回りを大きく高めることが可能になります。

私の友人が実際にAirbnbにて民泊を行っておりますが、所有者から月8万円で物件を借り受けて、月間売上げが最大で50万円位になるとのことです。代行会社に30%程度のフィーを支払いますので、手残りは、50万円-50万円×30%-8万円=27万円となります。この方の場合は、物件を所有するのではなく、所有者から民泊の許可を得て運営しており、借入リスクなく事業を行うことができています。

しかしながら、全ての不動産オーナーが民泊に理解を示している訳ではなく、また、最近は区分所有マンションで近隣とのトラブルが発生するなどいろいろと問題もあるようです。よって、外部要因の影響を受けずに民泊を行うためには、1棟アパート・マンションを自ら所有し、事業を行うことがベストになります。

物件によっては、空室リスクを軽減するだけでなく、収入アップも望める民泊事業をやらない手はないのではないかと思われると思います。しかし、私の見解は、現時点では民泊事業はあまりお薦めいたしません。当社のオーナー様にも提案することもありません。ブログや書籍などでは法的に、即ち旅館業法的にグレーだという論調のようですが、どう考えてみても完全にブラック、アウトだと考えるからです。

日本国内では、宿泊料を受けて人を宿泊させる行為は旅館業と定義され、各種要件を満たしたうえで営業の許可を得なければなりません。現在日本国内でAirbnbなどを通じて民泊を行っている方は一部許可を得ている方を除き全員旅館業法違反と私は認識しています。

実際、旅館業法違反として摘発されているケースが増えてきました。例えば、昨年京都市では民泊の用に供されると知りながら、運営業者に部屋を提供していた不動産会社と運営会社が送検されています。今現在警察や行政側が摘発に動けていないのは、民泊に提供されている部屋が多すぎるために実態把握が追い付いていないからなのだろうと思っています。

この記事のコラムニスト

熊ヶ谷一幸
熊ヶ谷一幸(不動産鑑定士)
株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。
趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。
[担当]物件調査
熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。