善管注意義務

「通常期待される義務」を負うこと
注意義務とは、「ある行為をする際に法律上要求される一定の注意を払う義務」のこと。では、「善管注意義務」とはいかなるものでしょうか。
善管注意義務は「善良な管理者の注意義務」の略で、業務を委任された人の職業・専門家としての能力・社会的地位などから考えて通常期待される義務を負う、という意味です。民法644条には「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と定められています。会社であれば、取締役(会社から経営の委任を受けている)が会社に対する善管注意義務を負っていると考えられます。善管注意義務があるにもかかわらず注意義務を怠り、履行遅滞・不完全履行・ 履行不能などに至る場合は「民法上過失がある」と見なされ、状況に応じて損害賠償や契約解除などが可能になるとされています。では、不動産における善管注意義務とはいかなるものでしょうか。
賃借人にも義務がある
不動産の世界においては、主に賃貸契約の分野で善管注意義務が登場します。賃貸では物件を他人から借りたり預かったりする人、管理を任されている人(受任者)がいます。受任した事務を処理するにあたり、職業上あるいは社会通念上、客観的に期待される程度の注意をもって取り扱う義務を負うことになります。
善管注意義務は、部屋を借りる賃借人にも適用されます。原状回復のガイドラインでは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失。善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」が原状回復であると定めています。通常の使用によって部屋が消耗した分については、賃貸人が責任を負います。減価償却費や必要経費分を賃料に含めていると考えられるからです。しかし、賃借人の故意・過失、例えば酔っ払って壁に大穴を空けたり、ペットのネコを躾けず部屋の設備を滅茶苦茶にしてしまった場合などは、善管注意義務違反として賃借人に原状回復の義務が発生します。
不動産売買においても善管注意義務は機能します。不動産会社であれば、善管注意義務は調査・説明・指導助言に反映されると考えられます。不動産会社が不動産についてきちんと調査していなければ取引自体成立しなくなりますし、重要事項説明書の説明を丁寧に行わなければ購入者は適切な判断ができません。調査義務と説明義務は裁判沙汰になることも多く、法律の規定から外れていると不動産会社が負ける確率が高くなります。
一方、指導助言義務には法的な定めがありません。例えば不動産の資産価値について、「将来価値が下がるかもしれない」ということをきちんと指導助言する不動産会社はどれぐらいあるでしょうか。指導助言義務についてはインセンティブが働きにくいので、取引する人がきちんと知識を備え、質問などすることによって詰めていく必要があるでしょう。
(参考:HP「ふくろう不動産」)
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