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有効採光率

建物に必要な窓の広さには規定がある
有効採光率とは、部屋の中に取り込まれる光の量を示す指標のこと。居室の採光に必要な開口部(窓)の広さのことを有効採光面積と呼びますが、有効採光率は以下の式で求められます。

有効採光率 = 有効採光面積 ÷ 居室の床面積

居室の採光に必要な開口部の広さは建築基準法で定められています。例えば住宅の居室であればその床面積の1/7以上の有効採光面積が必要です。

〈有効採光面積/居室の床面積の例〉
  • 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校の教室…1/5
  • 保育所の保育室…1/5
  • 病院、診療所の病室…1/7
  • 寄宿舎の寝室、下宿の宿泊室…1/7

ただし、地下に設ける居室や暗室など、用途上やむを得ない場合はこの規定は当てはまりません。
有効採光面積を割り出す
有効採光面積の計算には「採光補正係数」が用いられます。

・有効採光面積 = 開口部の面積 × 採光補正係数

用途地域によって採光補正係数の計算式は変わります。住宅系用途地域の場合、採光補正係数の計算式は次の通りです。

採光補正係数 = (D/H) × 6 - 1.4

D/Hは「採光関係比率」と言い、「光の採り入れやすさ」を示す数字になります。Dは開口部から隣地境界線までの距離、Hは開口部の中心部から直上の建築物までの高さとして計算します。
以下の基準を満たせば、採光上有効と認められます。

居室の床面積 × 居室用途ごとに定められた割合 ≦ 窓の面積 × 採光補正係数

ちなみに採光補正係数の最大値は「3」と決まっています。また、採光窓が道路に面していたり、隣地境界線から一定の距離以上離れていれば、採光補正係数は最低でも「1」になるという規定があります。
採光基準の見直し
最近では、国土交通省が平成30年に建築基準法における採光規定を見直しています。これは保育所の待機児童問題を解消するため。都会の保育所の整備に当たっては、既存の事務所や住宅を用途変更して保育所を設置しようとした場合など、敷地境界線との間に十分な距離を確保できなかったりすることがありました。すると建築基準法の採光基準が満たせなくなり、保育所が設置できない場合があったのです。そのため採光基準を改正して条件に応じて規制を緩和できるように定め、保育所の円滑な整備を後押しする措置が取られました。