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耐用年数

「寿命」と「耐用年数」の違い
建物には寿命があります。もちろん、住んでいる人は少しでも長く使うために補修するでしょうし、アパートやマンションを経営していれば資産価値を維持、もしくは向上させるために様々な方策を用いるでしょう。ボロボロになっても使われている建物もありますね。加えて、建物の寿命には曖昧な部分があります。「日本の住宅の寿命は約30年」と言ったり、「この建物の残りの耐用年数は20年」と言ったり、寿命ではなく耐用年数という言葉が使われることも。寿命と耐用年数は違うのでしょうか?
実は「耐用年数」という言葉には2つの意味があります。
〈『大辞林』の定義〉
  1. 機械・設備などが使用に耐えられる年数。
  2. 固定資産が物理的・経済的に使用可能な年数。法令で定められ、減価償却期間算定の基準となる。耐久年数。
一方、寿命には「生命の存続する期間」の他に「物の使用に耐える期間」という意味があります。つまり、「使用に耐えられる期間」という意味では寿命も耐用年数も同じなのです。問題は②の意味。こちらの耐用年数には法令で定められた基準があります。以下に挙げるのは財務省令による耐用年数の一例です(法定耐用年数)。
〈主な減価償却資産の耐用年数・建物〉
  • 木造・合成樹脂造のもの…15~24年
  • 木骨モルタル造のもの…14~22年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの…38~50年
  • れんが造・石造・ブロック造のもの…34~41年
  • 金属造のもの…17~38年〈主な減価償却資産の耐用年数・建物附属設備〉
  • アーケード・日よけ設備(主として金属製のもの)…15年
  • 店舗簡易装備…3年
  • 電気設備(蓄電池電源設備)…6年
  • 給排水・衛生設備、ガス設備…15年
実際には細目が設けられており、「木造・合成樹脂造のもの」であれば「事務所用のもの = 24年」「店舗用・住宅用のもの = 22年」など、細かく定められています。
耐用年数以上に建物を活用する
耐用年数には「一般的耐用年数」と「個別的耐用年数」があります。一般的耐用年数は画一的に定められたもの。先に紹介した法定耐用年数が主に採用されています。画一的である代わりに、主観が入らないのが一般的耐用年数の利点です。個別的耐用年数は企業ごとの状況に合わせて見積もられるもの。企業の利用状況が反映される代わりに、主観が入る可能性が指摘されています。
不動産投資においては、耐用年数はあくまで便宜的に定められたものだと考えた方が良いでしょう。耐用年数等に関する省令が公表されたのは1965年。今では建物の耐久性も格段に向上しているので、メンテナンス次第で耐用年数以上の期間にわたり建物の価値を保つことも可能になっています。