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ストック住宅

ストック住宅が空き家に?
ストック住宅と聞くと何だかモダンな印象を受けるかもしれませんが、その意味するところは「既存の建物で売りに出されている住宅」。要するに中古物件のことです。日本では住宅の使用期間は約30年と言われ、諸外国に比べて大変寿命が短い状況が続いてきました。戦後はバラック小屋や耐久年数の短い住宅が乱立し、建築業界も耐久性を犠牲にしてコスト重視の家作りを続けざるを得ない時代が続きました。結果として、日本では新築住宅ばかりがもてはやされ、中古住宅が空き家となる一因となっています。人口が減少していることもあり、現在では総住宅数が総世帯数を上回っています。
また、相続問題も中古住宅のネックとなっています。かつては二世帯住宅や三世帯住宅が珍しくありませんでしたが、核家族化が進んだ現在では子供が独立して家を建てるようになりました。すると、親が亡くなった後に子供が家を相続しても、すでに自分の家があるので住む必要はない、でも思い入れがあるから解体するのはちょっと…ということが起こりがちです。また、相続人が複数いる場合は「争続」に発展する場合もあります。
さらに固定資産税も問題です。空き家を所有していると固定資産税を支払わなければなりませんが、「土地に建物が建っていると土地の面積200㎡までの分について6分の1に減額される」という特例があります。家を解体すると固定資産税が高くなるため、空き家のまま放置するケースも多いのです。
空き家を減らす法律
こうした状況を打開するため、2015年には空き家対策特別措置法が施行されました。この法律は次のような事項を定めています。
  • 空き家の実態調査
  • 空き家の所有者に対する適切な管理の指導
  • 空き家の跡地についての活用促進
  • 適切に管理されていない空き家を特定空き家に指定することができる
  • 特定空き家に対して助言・指導・勧告・命令ができる
  • 特定空き家に対して罰金や行政代執行を行うことができる
ポイントは「特定空き家」に指定されると税金の優遇を受けられなくなること。つまり、空き家を所有し続けるメリットがなくなるわけです。
ストック住宅市場を活性化させる施策も
現在では優良ストック住宅市場の活性化が期待されるようになっています。政府主導で中古住宅の質の向上を支援するべく耐震補強、耐火リフォームなどが推進され、リノベーションも盛んになりつつあります(補助金、税制優遇などが設けられています)。長期優良住宅と認定された物件も税制の優遇を受けられるようになりました。また、多くの地方自治体では空き家の情報を集め、移住希望者に「空き家バンク」として情報提供を行っている他、国土交通省ではリフォーム等について情報提供が行われる既存住宅を「安心R住宅」として登録する制度を創設しています。