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収益還元法
収益還元法
不動産鑑定の役割
不動産鑑定評価の方法には様々なやり方があります。なぜ不動産鑑定を行うかと言えば、建物や土地の適切な価格はわかりづらいから。妥当かどうかわからない価格設定がまかり通ると、価格の暴落・高騰の危険があります。また、不動産には固定資産税や相続税がつきもの。不動産投資をしていて、不当に高い値段を根拠に税金を課せられたら困ってしまいますね。不動産鑑定には、信頼の置ける価格を設定することによって納税トラブルを避ける意味もあるのです。
3つの不動産鑑定手法
不動産鑑定には、主に3つの方法があります。
収益還元法
対象不動産から将来生み出されるであろう想定価値を現在の価格に置き換えて評価する方法。収益還元法には直接還元法とDCF法があります(後述)。
取引事例比較法
対象不動産と同等の条件の物件を比較し、取引価格の事例から価格を導き出す方法。取引の時期や市場の動向などまで比較検討します。
原価法
不動産の「再調達原価」をもとに対象不動産の資産価格を求める手法。「もし建物を最初から建て直したらどのくらいの費用がかかるか」という点に基づいて資産価格を評価する方法です。
収益還元法の2つの考え方
収益還元法の1つである直接還元法は「不動産から生まれる1年間の純収益(収益から経費等を引いたもの)を投資利回り(還元利回り)で割り戻して価格を導き出す」というもの。
〈直接還元法の計算式〉
1年間の純収益 ÷ 還元利回り = 不動産価格(収益還元価格)
収益還元法はその名のとおり収益に注目した評価法。この計算式は一見しただけでは意味がわかりづらいと思いますが、仮に不動産価格が判明している場合、次の計算式が成り立ちます。
不動産価格 × 還元利回り = 1年間の純利益
この計算式を逆にして割り戻すのが先の計算式なわけです。
一方、DCF法はDiscount Cash Flow法の略。純利益に注目するのは同じですが、DCF法では現在の資産価値と将来の資産価値は異なるという前提に基づきます。簡単に言えば、「今ある100万円は運用すれば増やせるかもしれないが、1年後にもらえる予定の100万円は必ず手に入るかわからないので、その分後者は価値を割り引いて考えなければならない」ということ。計算式は複雑ですが、売る時の価値も考慮したものになっています。
〈DCF法の計算式〉
毎期の純収益の現在価値の合計 + 復帰価格の現在価値 = 収益価格
一般的には直接還元法よりもDCF法の方が現実的な数値を導けると言われています。ただし、計算には割引率や売却価格など予想で出す数値も多く含まれるため、その精度によって算出される価値が大きく左右されるリスクもあります。