明認方法とは、土地に生育する樹木や果実などに独立した所有権が成立していることを公示する方法をいいます。明認方法は、民法に明確な規定はない慣習上の公示方法ですが、対抗要件として認められています。
- 公示できるもの
- 明認方法によって公示できるものは、立木(りゅうぼく)、未分離果実、温泉権です。未分離の果実とは、枝についたままの状態の果実をいいます。温泉源とは、土地に存在する温泉を利用する権利のことをいいます。
- 土地の定着物
- 本来、土地とその土地に生育する立木や果実などは定着物であり、土地と分離して処分することはできません。しかし、明認方法で所有者を公示することで、樹木や果実などの所有権が独立したものであることを示すことができます。
- 公示方法
- 具体的な公示方法として、たとえば、立木の幹の一部を削って所有者の住所や氏名を書いたり、所有者の住所や氏名を書いた札を立木にかけたり、立札を立てたりします。公示していなければ、その効力は失うことになります。
- 立木の登記
- 立木を登記している場合、立木の所有権を独立させることができます。明認方法でも所有権を公示できますが、登記した場合の方が確実に所有権を保持することができ、抵当権も設定することができます。
- 対抗要件
- 対抗要件とは、当事者同士で成立した法律関係や権利関係を第三者に対して主張するための要件のことをいいます。つまり、立木や末分離果実を明認方法によって公示することで、所有権を主張することができるということです。
- 土地の権利
- 土地の権利には、所有権と借地権があります。所有権は、土地を所有する権利のことで、土地を売却したり、貸したり、相続したりでき、土地に対する固定資産税なども支払う義務があります。借地権とは、土地を借りる権利のことで、借りた土地の上に建物を建てることができます。さらに借地権には、地上権と賃借権があります。
地上権は、建物や工作物を所有するために、他人の土地を使用する権利のことをいいます。地上権は、土地の貸主に対して借主が地代を払う義務はありますが、貸主の承諾なく転貸したり、権利を売買することもできます。
賃借権は、土地を賃借する権利のことをいい、賃借権を登記する場合や第三者に譲渡する場合、転貸する場合など、貸主の承諾が必要となります。
地上権はその土地を直接的に支配したり利益を受けることができる物権で、賃借権は、貸主が借主に地代などを支払ってもらう債権です。そのため、地上権の方が権利は強いといえます。
明認方法は、こういった借地権の土地で公示することもできます。