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還元利回り

不動産鑑定で使われる数値
還元利回り(キャップレート)とは、不動産の収益性を表し、当該不動産の価格を求めるために使用される利回りのことです。英語では「Capitalization Rate」。キャップレートは英語表記の略ですね。不動産投資においては、重要な指標となります。
還元利回りを別の言い方で表現すると、投資額に対する年間の賃料収入の割合のことになります。使い方としては、その不動産から得られる一期間の純収益を還元利回りで割ります。すると不動産の評価額を得ることができます(直接還元法)。不動産鑑定士が評価を行う際には「不動産鑑定評価基準」という統一的基準を用います。
還元利回りの求め方
不動産鑑定評価基準では、還元利回りを求める方法として次の5つの方法が挙げられています。
  1. 類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
  2. 借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法
  3. 土地と建物に係る還元利回りから求める方法
  4. 割引率との関係から求める方法
  5. 借入金償還余裕率の活用による方法
①は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる利回りをもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるもの。
②は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求めるもの。
③は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるもの。
④は割引率をもとに対象不動産の純収益の変動率を考慮して求めるもの。 割引率はDCF法(後述)という評価方法で用いられる数値です。
⑤は借入金還元利回りと借入金割合をもとに、借入金償還余裕率 (ある期間の純収益を同期間の借入金元利返済額で除した値を)を用いて対象不動産に係る純収益からみた借入金償還の安全性を加味して還元利回りを求めるもの。
やや難解ですが、本来であれば自由に価格を付けて売り出したり買い取ったりできる不動産を、適正な価格で取引できるように不動産鑑定士が評価するのが不動産鑑定であり、そのために様々な評価方法が工夫されているわけです。鑑定評価は不動産鑑定士以外の者が行ってはなりません。
なお、直接還元法は収益還元法と呼ばれる計算法の1つですが、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)という計算法も存在します。DCF法は将来的に得られる利益と売却時の予想価格を現在価格に割り引いてそれぞれを合計、不動産価格を算出する方法。純収益が永久に続くと見なされている直接還元法より精密な評価方法だと言われています。
(参考:国土交通省Webサイト掲載「不動産鑑定評価基準」「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」他)