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ペイオフ

金融機関が破綻しても払い戻しが保証される制度
金融機関にお金を何らかの形で預けている人にとって「金融機関の破綻」は嫌なニュースです。かつて日本の金融行政は「護送船団方式」と呼ばれ、弱小金融機関に足並みを揃えることで金融機関全体の存続と利益を保証することに心を砕いていました。そのため日本人は「預金しておけば安心」と考えていたのですが、1990年代初めのバブル崩壊以降は金融市場が激変。東京協和信組と安全信組(東京2信組)、兵庫銀行、コスモ信組、木津信組など、多くの金融機関が破綻しました。
ペイオフとは、民間の金融機関が破綻した時に預金保険機構が預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息を直接支払うことです。これは預金者・金融機関・預金保険機構の保険制度によって成り立っており、預金保険制度の加盟金融機関に預金をすると自動的に契約が成立します。また、例外として当座預金や利息のつかない普通預金等(決済性預金)は全額保護されることになっています。
ペイオフによって「金融教育」の必要性が高まった
ペイオフは「取扱金融機関が破綻し、かつペイオフ方式が適応された場合」に行われます。「1,000万円も銀行に預けていない」という人にとっては、万が一のことが起こった場合でも安心できる仕組みです。しかし、1,000万円を超えるお金を預けている人にとってはそうはいきません。
日本では2005年からペイオフが解禁されました(それまでは社会不安を抑えるためにペイオフは5年間凍結されていました)。このため、金融リテラシー向上の必要性が高まり、政府も「金融教育」キャンペーンを行ったりしました。要するに「危ない金融機関」を自分で見分ける能力が求められるようになったのです。
初めて発動されたのは2010年に破綻した日本振興銀行。この時は大口預金者に対して約4割の預金カットが行われたと報じられました。現在では日本の金融システムは安定しているようですが、将来は4割カットを上回るような事態が起こるかもしれないと言う人もいます。
不動産投資はペイオフ対策として有効
ある程度の資産がある人は、ペイオフ対策として貯蓄を分散させることを考えるでしょう。不動産投資を行っている人にとって有利なのは、不動産は現物資産であるため、紙幣や株のように価値が消滅しないということ。このためペイオフ対策として不動産投資が推奨されることがあります。また、家賃収入がある場合は融資してくれた金融機関が破綻してもいきなり無収入になることはありません。
ただし、当然ながら入居者が減れば収入も減りますし、売却しようとしてもすぐに売れるとは限りません。物件を増やしたりする際は将来性を慎重に検討した方が良いでしょう。