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バルクセール

抱き合わせで不良債権を売却する
「バルク品」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。バルク(bulk)とはもともと「船の荷」を意味する言葉。トウモロコシや小麦などは包装されない状態で船に積み込まれて大量に運ばれますが、そこから転じて「大量」「一括」という意味があります。最近では業者向けにロット(製造側が特定する製品の最小単位)で売られたパソコンパーツを個人向けにバラ売りしたものをバルク品と呼びます。例えばパソコンショップなどで簡易包装されたハードディスクやメモリなどが安く売られていたら、それはおそらくバルク品でしょう。バルク品は安いのですが、メーカー保証が付いていなかったりすることもあるので注意が必要です。ちなみにメーカー保証付きでしっかり包装された製品のことはリテール品と呼んでいます。
同じように、金融の世界には「バルクセール」というものがあります。バルクセールとは「不良債権の一括売却」のこと。金融機関などが保有する不良債権などを一括して第三者に売却します。買い手は投資ファンドや不良債権の回収を専門とする金融機関が多いようです。
不良債権は返済が滞っている貸付金のことですね。銀行などが融資を行った貸付金は、本来であればいずれ返ってくるはずのお金ですが、借り手の経営が悪化したりすると返済が危うくなります。債権として機能しなくなった債権、すなわち不良債権。ならばまとめて売ってしまおうというのがバルクセールです。
例えば5000万円の借用証書があっても、相手が返済できなくなればただの紙切れです。それならば他の借用証書とまとめて、借用証書50枚、総額10億円のものを5000万円で売る。買い手が付けば、不良債権の一部が回収できるというわけです。また、不良債権を一つ一つ処分しようとするとなかなか買い手が見つからなかったりしますが、少し条件の良いものと抱き合わせで売れば買い取ってもらえる場合もあります。
不動産のバルクセール
バルクセールは不動産の世界でも行われています。まず、大量の不動産を抱き合わせ販売することをバルクセールと呼びます。また、不動産投資では購入する不動産を担保に借入を行うケースが多いので、この債権が不良債権化することもあります。こういった債権をまとめて売却するのもバルクセールです。
不動産のバルクセールの場合は条件の良い物件と悪い物件をまとめて格安で売却します。それぞれの不動産は全国に点在していることもあります。格安とは言っても億単位の取引になることが多いので、基本的には法人向けです。
金融機関が不動産を担保に貸し付けたローンが不良債権になった場合は、税務署で損金として認めてもらえない可能性も高いのだとか。金融機関にとってはまさに泣きっ面に蜂の状況になるわけですが、このような不良債権をまとめて売れば損金として認められ、債権回収を進めることも可能になります。
売り手にとっても借り手にとってもメリットはあるが…
バルクセールで売られる数多くの不良債権の中には、買い手が投資した以上のリターンを得られるものが混ざっていることもあります。投資する側にとってもお得な取引になる可能性があるわけです。
ただし、融資を受けていた側にとってはいいことばかりではありません。借用証書が転売されるということは、貸し手がある日突然交替することを意味します。すると返済を待ってくれていた相手が厳しい催促をしてくる貸し手に替わり、結果として借り手が破産してしまうこともあり得ます。