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不良債権

回収困難な債権
不良債権とは、ざっくり言うと「回収困難な債権」のこと。つまり債権が対象であればジャンルを問わず使える言葉ですが、狭義には金融機関において回収が困難になる可能性が高い貸付金のことを言います。つまり金融機関から見た債権というわけで、原因としては融資先企業の経営悪化や倒産などが挙げられます。
不良債権で多いのは金融機関の貸付金が焦げ付くパターンですが、広義では個人でやり取りした貸付金が返ってこない場合も不良債権と言えます。個人であれば借りたお金を返さない(返せない)ケースだけでなく、家賃の未納などが代表的な例でしょうか。法人の場合は売掛金や立替金などが不良債権になる可能性があります。
債権とは「ある人(債権者)が他の人(債務者)に対し一定の給付を請求し、これを実行させることを内容とする権利(『広辞苑 第七版』)」ですが、相手が返済するに足る資産を持っているとは限りません。また、相手が資産を持っていたとしても、優先順位などの関係で回収できなくなる場合もあります。
厳密には3種類に分かれる不良債権
不良債権を厳密に分類すると次の3つに分かれます。

・リスク管理債権
・金融再生法基準で判断された債権
・銀行の自己基準で定められた債権

「リスク管理債権」は金融庁が定義する債権のことで、破綻先債権、延滞債権、3カ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権の4つに分類されます。
「金融再生法基準で判断された債権」は金融再生法(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律)による資産査定において破産更正債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権が金融再生法開示債権=不良債権とされています。
これら2つはいずれも開示が義務付けられています。「リスク管理債権」は銀行法を根拠としており、貸出金のみが対象となります。「開示債権」は以下の区分に従い、決算時に保全状況と共に開示することになっています。

・破産更生債権及びこれらに準ずる債権(自己査定に基づく破綻先・実質破綻先債権)
・危険債権(破綻懸念先債権)
・要管理債権(要注意先債権のうち3カ月以上延滞債権・貸出条件緩和債権)
・正常債権(その他の債権)

一般的には破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権が不良債権と見なされることが多いと言います。
「不良債権投資」というビジネスも
アメリカでは焦げ付いた住宅ローンを対象にした「不良債権投資」というビジネスがあるそうです。ある程度までなら元本を返せる債務者がいて、例えば6割なら返せることを投資家が確認したとする。そこで投資家は銀行から5割の額でこの不良債権を買い取る交渉をまとめるのです。そして債務者から改めて6割を返済してもらいます。その代わり、投資家は債務者が抱える残り4割の債務を免除する。こうすれば投資家は差額の1割が手に入り、銀行と債務者から感謝されるという仕組み。日本とアメリカでは諸条件が異なりますが、不良債権が増加すれば似たようなビジネスチャンスが到来するかもしれないと言われています。