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UPREIT

REIT(リート)はアメリカで生まれた不動産投資信託です。日本では2000年に登場し(国内REIT、J-REIT)、2008年のリーマンショックを経験した後も人気商品の1つとなっています。賃料収入などが元になっているので比較的安定性が高く、他の投資信託より高い分売金が見込めると言われているからです。

REITはReal Estate Investment Trustの略で、不動産投資法人を表すこともあります。簡単に言えば、多くの投資家から集めた資金を投資法人が不動産などに投資し、そこから生じる売却益や賃料を投資家に配当(分配)する仕組みです。REITには国内市場に上場されている「国内REIT型」と海外市場に上場されている「海外REIT型」の商品がある他、両方を組み合わせた「グローバルミックス型」の商品も販売されています。

アメリカで盛んなUPREIT

REITは投資家から集めた資金を不動産などに投資する投資信託商品ですが、アメリカで広く活用されている手法の1つにUPREIT(アップリート)というものがあります。その仕組みは土地を現物出資してREITとして運用すること。土地出資者とREITがパートナーシップを形成するため「Umbrella Partnership REIT = UPREIT」と呼ばれています。
REITに現物出資した際には、簿価と時価が設定されます。簿価とは「帳簿価額」の略で、会計帳簿に載る資産、負債、資本などの価額のこと。端的に言えば、支出した金額(取得価格)が記帳されるわけです。一方、時価とは商品の市場価格のことを言います。

土地を現物出資するには、簿価が時価より低い時を狙います。そうすることで土地所有者はREITの株式を取得します。ただし、土地を現物出資した段階ではまだREITではありません。組合(オペレーティング・パートナーシップ)に現物出資を行い、REITが金銭を出資し、投資信託として運用する。土地所有者が出資分を株式に転換できるようになるのはその後です。このスキームが生まれた背景には、アメリカでは組合に現物出資しても課税されないという事情があります。

UPREITが有利なのは、簿価と時価の差額益(譲渡益)に対する課税がREITの投資口に転換した時点で行われるからです。土地所有者が出資分を株式に換えない限り、課税されることはありません。つまり、課税を将来に繰り延べることが可能になるわけです。

アメリカではREITの7~8割がUPREITの仕組みを利用しているとも言われていますが、日本では大手企業が売却時に課税されることを嫌ったり、税収への影響が懸念されたことなどから、未だに導入されていません。