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SPC法

資産の流動化に関する法律
SPC法とは「資産の流動化に関する法律」の略称です。SPC法では特定目的会社(SPC)または特定目的信託が資産を流動化する場合の手続きやルールが定められています。資産の流動化とは不動産や債券などの資産を売却または現金化して資金調達することで、この資産をもとにした有価証券(資産担保証券)を発行することを「証券化」と言います。
不動産の証券化には3つのタイプがあります。

・資産流動化型
・資産運用型(ファンド型)
・開発型

資産流動化型では特定目的会社を利用します。特定目的会社は資産の流動化のみを目的としたペーパーカンパニーのようなもので、会社が持つ資産を移し替えるための存在であり、利益を追求しません。特別目的会社には倒産の概念がなく、会社法上の会社とは異なり財務局が管轄しています。
資産流動化型では、不動産の保有者(オリジネーター)がビルや賃貸マンションなどを特定目的会社に移し替えます。特定目的会社はその不動産資産が生み出す収益を裏付けとした証券を発行することで資金を調達します。まず証券化の対象となる不動産の存在が前提になるので、「資産ありきの不動産証券化」と呼ばれています。
ちなみに日本において資産流動化型が登場したのは、銀行が不良債権に苦しんでいた頃に融資の担保となっていた企業の不動産を売却しようとする不良債権処理が盛んになったからです。この動きは不動産売買市場を活性化し、景気回復に大いに役立ちました。
資産運用型(ファンド型)の代表例はJ-REITです。資産運用型では複数の投資家から資金を集め、不動産に投資して運用し、その収益を投資家に分配します。運用するべき資金の存在が前提になるので、「資金ありきの不動産証券化」と呼ばれています。なお、J-REITは証券取引所に上場する「公募ファンド」ですが、アセットマネジメント会社が限られた機関投資家に呼びかけて募集する「不動産私募(プライベート)ファンド」もあります。
開発型では「これから建設する建物」が投資の対象になります。開発型は期間が短いために証券化のコストがかかり、その分リターンも高くなる特徴があります(ハイリスクハイリターン)。
証券化を司る様々なルール
不動産証券化においては、SPC法以外にも様々な法律がルールを定めています。SPC法以外に特に重要なのが不動産特定共同事業法、投信法です。
不動産特定共同事業法は、不動産の小口化商品事業の破綻などによって投資家が被害を受けることを防止するために制定された法律。投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)は投資信託全般を規制する法律ですが、2000年の改正で不動産も扱えるようになったことで、J-REITが誕生する契機となりました。