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IVS

財務諸表における資産評価の国際的基準
IVSとは「International Valuation Standards」の略語。「国際評価基準」と訳されます。
IVSは不動産を含む資産の評価についての国際的な基準です。今日では世界100ヵ国以上で国際財務報告基準(IFRS)が採用されるなど、企業会計の国際的統一化の動きがあります。これを背景に国際会計基準審議会(IVSC)によって策定・提案されているのがIVS。IVSCは世界の評価専門団体等が加盟する非営利の民間団体です。
IVSは東欧、中東、アジア、アフリカ等の自国に評価基準のない新興国で利用されているほか、欧米等のように自国に評価基準がある国・地域でも広く認知されています。2014年にはIFRS財団とIVSCとの間で資産の公正価値の測定のための評価基準等を連携して開発していくことについて合意。2017年には、国際的な標準化が進展していない事業評価や金融商品の評価のための国際的な基準としての利用を広げるとともに、資産評価に関する制度・規制が異なる国々でより適用しやすくするため、重要かつ原則的な事項を中心に大幅な再編・整理が行われました。
IVSが評価の対象とするのは不動産だけではありません。すべての資産や負債を対象として市場価格を市場参加者の視点から評価する方法を採り、原価方式、比較方式、収益方式を基本としています。
不動産鑑定評価基準との比較
日本の不動産鑑定評価基準は不動産鑑定士が不動産を評価する際に拠り所とする統一的基準であり、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて1964年に制定されました。IVSを日本の不動産鑑定評価基準と比較すると、当然ながらIVSの方が評価対象は幅広いのですが、基本概念においては同一であり、手法についても整合的であると評価されています。
ただし、不動産鑑定評価基準では基本概念の定義以外にも価格形成要因の分析や評価手法の具体的な適用方法等について詳細な記載があります。さらに不動産鑑定評価基準の「各論」では種別・類型ごとの評価方針や証券化対象不動産に関わる特則的事項が規定されている他、用語の定義の仕方や現地調査等の要請、依頼に応じたスコープオブワークなどに若干の相違があります。

(参考:国土交通省不動産鑑定評価制度懇談会・2017年5月31日資料2)