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ISDN

かつて〝主役〟だったデジタル通信
インターネット回線にはADSL・SDSL・VDSL(xDSL)、光回線、CATV回線など様々な種類があり、ユーザー側は多少混乱することもあるでしょうか。現在では光回線の普及率は6割を超えており、インターネット回線の主流と言えるでしょう。しかし、90年代後半から2000年代初頭まで、電話回線を利用するインターネット接続の主役となっていたのはISDNでした。
ISDNとはデジタル通信の国際標準規格です。後に登場するADSLと同様に電話回線を使用しますが、ADSLがあくまで1回線なのに対し、ISDNは1回線で2つの番号を持つことができ、電話中にFAXを送ったり、インターネット接続中も電話を使うことができたため、従来のアナログ公衆回線に代わる通信手段として普及しました。ADSLもインターネットと電話は同時に利用が可能ですが、電話とFAXを同時に利用することはできません。特に企業では高速・高解像度でFAXを送受信することができるISDN回線用のG4規格が重宝され、普及に一役買いました。かつては低速なダイヤルアップ接続が主流でしたが、ISDNの登場でデータ通信速度は64kbpsまで高速化し、個人でISDNを利用する人も増えました(企業向けのINSネット1500は最大速度1.5Mbps)。
しかし、21世紀に入ると電話回線中で使われていなかった領域を利用するADSLが登場し、ブロードバンド時代が始まりました。ブロードバンド回線(高速なデータ通信回線)にはADSL、CATV回線、光回線などが分類されますが、ISDNやダイヤルアップ接続など128kbps以下の回線はナローバンドに分類されます。インターネット接続の主役は最大速度50MbpsのADSL、それ以上の速度を誇る光回線へと移っていきました。
ISDNは2024年で終了
現在ではISDNを利用している個人の消費者はほとんど存在しないでしょうが、業務領域では事情が異なります。平成29年度末でも約290万件がISDNを契約しているのです(総務省の情報通信統計データベースより)。これはラジオ放送やEDI(電子データ交換)、エレクトロニックバンキング(ファームバンキング)、警備、POSレジや保険の請求などで利用され続けていたためです。しかし、総務省は2024年にISDNサービスを終了し、2025年以降はIP網に移行すると発表しました。このため例えばEDIの分野では、代替サービスへの移行が進んでいます。