ウチコミ!

HPC

鉄骨とコンクリートパネルで造る
超高層建築物を可能にする高強度コンクリートのことをHRC=Hard Reinforced Concreteと呼びますが、よく似た建築用語にHPCというものがあります。
HPCは英語のHard Precast Concreteの略です。名称にはコンクリートが入っていますが、材質としてのコンクリートのことではありません。鉄骨とコンクリートパネルを組み合わせる建築構造のことをHPCと呼びます(HPC造と呼ぶこともある)。Precast(プレキャスト)工法とは部材を設備の整った工場であらかじめ製造し、現場に持ち込んで組み立てる工法のことです。
通常の鉄筋コンクリート造の造り方
例えば通常の鉄筋コンクリートは、大体次のような工程をたどって組み立てられます(躯体工事の一例)。

・コンクリート上に印(柱や壁など建築物の基準となる線を付ける「墨出し作業」)を付ける
・柱や壁の鉄筋を組み立てる
・柱や壁、梁などのコンクリートを流し込む型枠を組み立てる
・床のコンクリートの型枠を組み立てる
・梁や床の型枠の上に鉄筋を組み立てる
・コンクリートを流し込む前に配管や型枠などを最終チェック
・生コンクリートを流し込む(打設)
・コンクリートが十分固まったら型枠を解体する
メリットが多いHPC
このように通常の鉄筋コンクリート造ではコンクリート打設という作業が必要になりますが、HPCではあらかじめ製造されたコンクリートパネル(Precast Concrete = PC部材)を現場で組み立てられた重量鉄骨(H形鋼)に接合して組み立てていきます。つまり、現場でコンクリート打設工事が不要となるため、工期を短縮できます。また、通常のコンクリート打設では職人さん達の技術が仕上がりを左右することがありますが、PC部材であれば工場で高精度の部材を用意できるので、一定の品質が保たれます。さらに次のような特長があります。

・耐震性が高い
・耐火性が高い。建物全体が燃えることがない
・コンクリートなだけでなく高精度な造りから木造より防音生が高い
・耐久性が高い

このような特長があるため、マンションや集合住宅などの中高層建築物に使われています。物件を探す際は、HPCで造られているかどうかを検討要素の1つとして採用するケースも見られます。
デメリットとしては、木造や鉄骨造と比べると工賃が高くなること。また、コンクリート打ちっ放しの構造の場合は、熱を室内に溜め込みやすくなります。夏は夜になっても暑く、冬は部屋が暖まりにくいという問題があるので、何らかの対策が必要です。