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FIT制度
FIT制度
再生可能エネルギー普及促進のために
FITとは「Free-in Tariff」の略称。「固定買取価格」を意味する言葉で、電気事業者に対して再生可能エネルギーで発電した電気を固定された価格で一定期間にわたり全て買い取ることを義務付ける制度をFIT制度(固定価格買取制度)と呼んでいます。
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといったエネルギー。共通しているのは①温室効果ガスを排出しない、②国内で生産できるなど、低炭素でエネルギー安全保障にも寄与できるということです。「エネルギー供給構造高度化法」においては「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」が再生可能エネルギー源として定義されています。
制度の背景
FIT制度が導入された背景としては、日本のエネルギー自給率が低いこと(2018年に世界で34位)、東日本大震災後に再生可能エネルギーの普及促進を図る機運が高まったことが挙げられます。
2018年に発表された第5次エネルギー基本計画では、2030年時点での再生可能エネルギー比率の目標が20%→22~25%へと引き上げられました。また、最近では菅義偉首相が所信表明演説で2050年に二酸化炭素の排出量をゼロにすると宣言し、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。2021年の参議院では「改正地球温暖化対策推進法」が可決され、都道府県などに再生可能エネルギーの導入目標を定めることを義務付けられることになり、自治体が「促進区域」を設ける制度も創設されます(2022年4月に施行される見通し)。
FIT制度の課題と対策
FIT制度で買取の義務を負うのは一般の送配電事業者(電力会社)です。買取費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として電気の使用者が支払う電気料金に上乗せされます。金額は使用電力量によって変動しますが、単価は全国一律。国が1年ごとに算定するようになっています。
FIT制度では発電した電気は確実に一定の価格で買い取られるので、再生可能エネルギー事業者にとっては参入のハードルが低くなります。しかし電力の買取が増えると、再エネ賦課金を支払う電気使用者の負担が増大します。このため2017年度には事業の効率化、コスト低減等を図るために入札制度などの導入が進められました。競争によって再生エネルギー事業者がコスト削減に努めれば、最終的に再エネ賦課金の減少が期待できます。