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ESCO事業

省エネルギー改修を初期費用なしで行う
ESCO(エスコ)とは、Energy Service Companyの略称です。ESCO事業とは、照明をLEDにしたり太陽光発電を導入するなどの省エネルギー改修にかかるすべての経費を光熱水費の削減分で賄う事業のこと。ESCO事業者はサービスの提供によって軽減されたコストの一定割合を報酬として受け取ります。クライアントが損失を被る場合はESCO事業者が補填します。したがってコスト削減が実現しない場合はクライアントに負担がかかりません(パフォーマンス契約)。改修を行うクライアントにとっては初期費用がかからないことから取り組むハードルが低くなりますが、契約期間中は削減額の一定割合をESCOサービス料として支払うことになります。
一般的な省エネルギー改修工事は設計・工事・運転などの各段階で各事業者と個別に契約しますが、ESCO事業者は省エネルギーに関する提案の他、そのために必要な設備の設計・施工、運転、維持管理、資金調達などに関するすべてのサービスを提供します。すべてを同一事業者が行うことで省エネルギー効果の実現を確かなものにする仕組みです。
大規模な事業でなければ実現できない
ESCO事業によるサービスはビルや工場などの省エネ改修事業でも活用されていますが、自治体がESCO事業を取り入れることもあります。ESCO事業を活用することにより、自治体は省エネ事業による利益の最大化を図ることができます。
環境省では、ESCO事業の特徴を「新たな財源を必要としない省エネルギー促進策」としています。まず、ESCO事業ではすべての費用を省エネルギー改修によって実現する光熱水費の削減分で賄うことを基本としているため、自治体が損失を被ることがないよう事業採算性を重視。自治体の新たな財政負担はありません。また、契約期間終了後の光熱費削減分は自治体の利益になるわけです。
事業開始初年度から従来の光熱費支出以上の経費がかかることがなく、同時に省エネ・温室効果ガス排出削減も可能になります。省エネルギー効果の保証もESCO事業者が行うことで、やはり自治体の利益が損なわれないようにしています。逆に言えば、省エネルギー効果の最大化を図るインセンティブはすべてを請け負うESCO事業者に向かうことになります。自治体の利益保証がESCO事業者の利益に直結するので、自治体としても発注しやすくなります。
いいことづくめのようなESCO事業ですが、大規模な事業でないとESCO事業が成立するエネルギー削減は実現できないため、利用できるクライアントは限られます。また、ESCO事業者にとっては保証付きのサービスなので、投資回収率の良い技術、計測・検証が容易な技術に限定した提案をする傾向もあるようです。