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CMBS

商業用の不動産などに対する融資を担保とした証券
CMBSとは「Commercial Mortgage Backed Securities」の略で、「商業不動産担保証券」と訳されます。他にも「商業用モーゲージ証券」などと呼ばれることもあります。ちなみにモーゲージとは英語で抵当、担保、貸付金を意味する言葉。「リバースモーゲージ」と言えば、「自宅に住みながらその自宅を担保に老後資金を借りることができる商品」という意味になります。
CMBSは商業用不動産(ビルやオフィスなど)などに実施したローンをひとまとめにし、それを担保として証券化した商品のことです。このローンはノンリコースローン(債務不履行に陥っても担保不動産以外の資産には債権取立が及ばない、アメリカで主流のローン)なので、物件そのものの競争力が重要になります。したがって投資家は主に商業用不動産市場の動向に注目するということになり、運用するには不動産の評価などの専門的な知識・経験が必要とされます。
CMBSは次のような手順で証券化・販売されます。

①商業用不動産ローンを売出し
②それをプールした上で特別目的会社(SPC)に売却
③特別目的会社はそれを担保にし、AAA格付けをはじめとする数種類のクラスの証券を発行
④特定目的会社がその発行した証券を引き受け、投資家に販売する

CMBSの裏付けになるのは商業用不動産ローンです。例えば100億円分のローンがまとまれば、それに相当する不動産によって担保されているということになります。プールされるローンは一般的に固定金利の10年満期となっています。購入者には満期時に支払いが行われますが、ローンの返済が滞ると債権回収業者が対処することになります。
CMBSのリスク
CMBSでは格付けによって分配順位が決められています。組み込まれているローンのどこかで債務不履行(デフォルト)が発生した場合は、CMBS全体に損害が及ぶのではなく、分配順位が下位のCMBSから順に損していく仕組みになっています(優先劣後構造)。AAA格のCMBCであればかなりの損失まで下位のCMBSが吸収するので、簡単には元本割れしない仕組みになっています。このためCMBSのリスクは格付けによって大きく差があることになりますが、利回りはリスクが高いほど高くなるので、AAA格の利回りは低くなります。アメリカでは低格付けのCMBSに対しては投資ファンドなどが多く投資していると言います。また、AAA格のCMBSは市場規模が大きく、機関投資家が多く投資する市場となっています。