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ADR

不動産トラブル、もう裁判しかない?
特に民間の賃貸住宅をめぐっては、様々なトラブルが起こっていると言われます。不動産を巡るトラブルと言えば、こじれてしまうと「もうここまで来たら裁判しかない!」と考えられがちですが、実際には多様な解決方法があります。こういった裁判によらない紛争解決方法をADR(Alternative Dispute Resolution)、「裁判外紛争処理」「裁判外紛争解決手続」と言います。
ADRの範囲は広く、行政機関や民間機関が行う斡旋、調停、仲裁などから裁判所で行われる民事調停、家事調停、訴訟上の和解まで含まれます(不動産関係に限りません)。紛争当事者の自主的な努力を尊重するだけでなく、専門的な知見を加味して迅速な解決を図るのがADRの特徴です。
様々なADR
不動産関係でトラブルに見舞われると、「家賃を滞納する借主と直接交渉してきたが埒が明かない」「泣き寝入りしたくないけど裁判だとお金と時間がかかる」「信頼できる専門家に仲立ちしてもらいたいが、誰を頼ったらいいかわからない」といった状況に陥るケースも少なくありません。このためADRではいくつかの機関が解決手続きの役割を果たしています。

①(独)国民生活センター紛争解決委員会
②指定住宅紛争処理機関…住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により指定される機関で弁護士会が指定されている
③ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)によって認証された民間ADR機関
④(一財)不動産適正取引推進機構による特定紛争処理事業…ただし、紛争当事者が直接に申し立てることはできず、一次処理機関から申請があった紛争が対象

例えば独立行政法人国民生活センターでは、「国民生活センター紛争解決委員会」において和解や仲介、仲裁を行います。ただし、国民生活センター紛争解決委員会が動くのは重要消費者紛争(消費者と事業者との間で起こる紛争のうち、その解決が全国的に重要であるもの)についてのみです。基本的には、各地の消費生活センターや国民生活センター等に寄せられた相談の中で、解決が難しそうだったときなどに国民生活センター紛争解決委員会に和解の仲介等を申請することができます。また、当事者が直接国民生活センター紛争解決委員会に申請することも可能となっており、電話番号が公開されています。
どのADRを選ぶかはケースバイケースですが、いずれも円滑な解決のために専門的な知見を用いることが肝要である場合にADRを活用することが有効である、との考えに基づいて利用されます。