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自立した生活を維持・向上させる
不動産の中には老人ホームや介護施設なども含まれます。日本が高齢化社会に突入していることは誰もが認めるところです。近年の日本では、介護予防の重要性が強調されるようになりました。介護予防とは、高齢者が要介護状態になることを予防したり、介護状態の悪化を防ぐ取り組みのことです。
自立した生活を送るために必要な指標として、アメリカで1959年にADL評価法が開発されました。ADLとはActivities of Daily Livingの略称で、「日常生活動作」と訳されます。ADLは介護やリハビリテーションにおいて高齢者や障害者の日常生活レベルや身体能力を測るために用いられるものです。日常生活を送るために最低限必要な基本的動作がADLですが、ADLを評価するだけでなく、維持・向上を図ることで社会参加などを促し、生きがい等まで構築していくことを目指します。
逆にADLが低下すると活動性が衰え、家に閉じこもりがちになり、やがては寝たきりになるリスクが高まります。
複数あるADL評価法
ADLには「基本的日常生活動作」と「手段的日常生活動作」があります。
基本的日常生活動作は、日常生活における基本的な「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」のための動作を言います(狭義のADL)。
手段的日常生活動作とは、より複雑な動作を指します。具体的には、「掃除・料理・洗濯・買い物などの家事や交通機関の利用、電話対応などのコミュニケーション、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理、趣味」などの日常生活動作のことです。
ADLのどの段階にあるかを評価する際は、自立能力と認知能力に着目します。
ADL評価法には複数の種類があります。例えば基本的日常生活動作であれば、Barthel Index(バーセルインデックス)という評価方法があります。食事・移動・整容・トイレ・入浴・歩行・階段・着替え・排便・排尿の10項目で構成されているもので、項目によって不能から自立まで、2~4段階に分けて評価されます。
手段的日常生活動作であれば、Lawton(ロートン)の尺度という評価方法があります。電話・買い物・食事の準備・家事・洗濯・交通手段・服薬管理・財産管理の8項目から成るもので、3~5段階評価で点数が高いほど自立度が高いと評価されます。
手段的日常生活動作を保つには、身体・精神機能の回復・維持に努めるだけでなく、地域における居場所作りや社会参加の機会を作るための支援も重要とされています。