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100年コンクリート

100年間大規模修繕が必要ないコンクリート
マンションのオーナー、あるいは管理組合の人間であれば、老朽化してくる物件の様子に心を痛めることがあるでしょう。傷んだ箇所の修繕はもちろん、定期的に大規模修繕工事を行う必要もあります。分譲マンションであれば資産価値も気になりますね。そんな時「100年持つコンクリートがある」と言われれば、興味が湧くのではないでしょうか。
「100年コンクリート」とは、大規模修繕工事を行わなくても約100年は持つと予想される高強度コンクリートのことです。正確には、日本建築学会で「構造体の大規模修繕が予想できる期間としておよそ100年」と定められたコンクリートのことを指し、設計基準強度が30N/㎟(1㎠の面積で約300kgの重さに耐えられる)と定められています。ちなみに65年持つと言われる一般的なコンクリート建築物では24N/㎟です。また、コンクリートの強度を高めるには水を少なくすると良いのですが、一般的な建物では水セメント比が50~60%なのに対し、100年コンクリートでは50%以下のことが多いようです。
100年コンクリートであれば大規模修繕工事の負担は大幅に減りそうですが、ひび割れ補修などのメンテナンスは必要です。100年コンクリートとはあくまで構造体が100年持つコンクリートのことなので、心に留めておきましょう。
なお、特定マンションの正確なコンクリート強度などを知りたい場合は、新築マンションのモデルルームや中古物件の仲介業者が保管している「設計図書」を閲覧すると良いでしょう。
さらにハードルが高い100年マンション
100年コンクリートと同じようなコンセプトとして「100年マンション」があります。日本国内で販売・ストックされているマンションはだいたい37年程度で建て替えられるものが多く、あまり長寿命とは言えません(国土交通省が2002年に建替工事の着工時期の平均を算出したら37年だったそうです)。住宅の平均寿命も日本は約30年なのに対し、欧米では築100年を超える住宅が普通に存在します。現在では低成長時代となっていることもあり、従来のようなスクラップ&ビルドが難しくなりました。このためマンション事業者は長寿命な「100年マンション」の開発に乗り出したのです。
ただし、100年マンションの実現は簡単なことではありません。100年間不自由なく住み続けられなければ100年マンションとは呼べないのです。つまり、100年コンクリートで強固な躯体を備えているだけでなく、給排水や設備、間取りなどの更新がしやすいことも必要になります。つまり、まず設計段階から将来のことを先取りして施工し、かつ隙のない工事をすることが100年マンションの最低条件と言えるでしょう。もちろん建設後は普段のメンテナンスが重要になります。