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埋戻し

掘削した空間を埋め・戻す
建築では、基礎を作るために地面を掘ったり地下に設備を埋設することがあります。こういった場合は設置後に掘削した土砂等の部分をある程度元に戻す(埋戻し)ことになるわけですが、ただ埋めれば良いというものではありません。大きさにもよりますが、ただ埋めただけでは次のような現象が起こる可能性があります。

・地震が起きたときに土砂等が液状化し埋設物が破損する
・寒い季節に雨が降り、水分の増えた土を埋戻したことにより、水分が凍結。春になって氷が溶け、地盤沈下を引き起こしてしまう
・埋戻し時の転圧(ローラーなどで空気を押し出して土砂等を締め固める作業)が不十分で排水管が沈下し、破損してしまう

したがって、埋戻し部分には締固めや固化など、様々な配慮をする必要があります。
建物の基礎を作る場合
建物の基礎を作るときは、必ず地面を掘削します。掘削した空間を根切り、底面を根切り底と言いますが、例えば直接基礎の場合は根切り底が支持層となり、砕石などを用いて基礎を作ります。ある程度の強度が確保されたら、土を埋め戻すことになります。埋戻しに用いる土は「埋戻し土」「盛り土」と呼びます。埋戻し土、盛り土には根切りで出た土をそのまま使う場合もあります。
しかし、時には掘り出した土が粘土質だったり、場合によっては汚染土が出ることもあります。そういうときは、他の現場から良質な土を調達したり、新たな埋戻し用の土を購入したりします。
埋戻し土には4種類あります。

・A種…山砂の類。水締め、機器による締固めで強固になる。
・B種…根切り土の良質なもの。工法は機器による締固め。
・C種…他の現場から出た良質土。工法は機器による締固め。
・D種…再生コンクリート砂。水締め、機器による締固めで強固になる。

なお、C・D種は建設時に発生する産廃物の有効利用となることから、積極的な使用が求められていると言います。
杭を抜いた後にも埋戻しは必要
建設工事現場にはしばしば杭が見られます。杭を打ち込むと元の地盤が破壊されます。「一般社団法人日本杭抜き協会」では、杭を除去するだけではなく、埋戻しが完了してはじめて「杭抜き工事を完了した」と言うことができるとして、「元の地盤」を基準として引抜き孔埋戻し工事のスタンダードを確立することを目指しています。現在の埋戻し作業では①砂、②流動化処理土、③セメントミルクが主に使われていますが、日本杭抜き協会では日夜変化する工事現場やトラブルに対処しやすいものとしてセメントミルクに注目しています。