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内法

床面積を示す「うちのり」
内法は「ないほう」「うちほう」ではなく「うちのり」と読みます。登記や建築確認、不動産広告などで必要になってくる類いの知識です。
内法とは、建物の床面積を測定する際に壁の内側の部分だけを「床面積」とする考え方のこと。反対に、建物の床面積を測定する際に壁の厚みの中心線を想定、この線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん。壁芯と書くこともある)」と呼びます。
ちょっとややこしいのは、用途によって床面積に対する考え方が異なることです。

・マンション広告、パンフレット等…ほとんどが「壁心面積」
・賃貸物件等、部屋の広さが重視される情報…「内法面積」
・建築基準法で建築確認を申請する場合…「壁心面積」
・不動産登記法に従って区分所有建物(分譲マンション等)を登記する場合…「内法面積」

よって、例えば「壁心面積」のことを知らずに分譲マンションの広告で広さを確かめてから現物を見ると「あれ? 思ったより狭いな」と感じるかもしれません。逆に「壁心面積」「内法面積」のことを知っていれば、現物を見た際に違いを実感することができるでしょう。
ちなみに、不動産業界が自主的に定めた広告のルール「不動産の表示に関する公正競争規約」には、壁心面積と内法面積のどちらを記載すべきか、明確には決められていません。したがって「どちらを記載してもよい」ということになり、物件を広く見せたい不動産会社などは壁心面積を広告に採用する、というわけです。
税制優遇制度に関わってくる場合も
床面積は、不動産の税制優遇制度に関わってくる場合があります。税金に関しては、基本的に戸建住宅の場合は壁心面積、アパート・マンションなど共同住宅の場合は内法面積が基準になります。

〈床面積によって税金が控除される場合がある制度〉
・住宅ローン控除
・すまい給付金
・登録免除税の軽減措置(2021年3月31日までの暫定措置)

このうち「すまい給付金」は消費税率引上げによる負担を軽減するために創設された制度で、中古物件に適用されます。
他に床面積が関わってくる問題としては火災保険が挙げられます。マンションの場合、多くの保険会社では規約に「専有面積」と記載されていますが、ほとんどの場合「専有面積」とは「内法面積」のことで、「内法面積」がそのマンションの床面積となります。しかし床面積が「壁心面積」基準であった場合は保険料が「内法面積」と変わってくることがあり、トラブルの元になりかねません。火災保険を契約する際は専有面積の範囲をしっかりと確認しておく必要があるでしょう。