ウチコミ!

汚染井戸周辺地区調査

様々に活用される地下水
最近では「水道民営化の是非」が話題になることもありますが、普段、水のことを意識することはあまりないと思います。日本の都市用水は主にダムや河川から得られていますが、北陸、関東内陸、南九州などでは他の地域に比べて地下水への依存度が高い傾向にあります。
地下水は地下に賦存している水の総称です。地下水(井戸水)を利用するメリットには次のようなものがあります。

・水温が安定しているので利用しやすい
・足元から採取するので送水エネルギーがかからない
・災害時に利用可能

災害時には、水道管が地中に埋設されているために断水したりすることがありますが、井戸であれば地震の影響を受けにくいことが知られています。
地下水は生活用水、工業用水、農業用水、養魚用水などに利用されているだけでなく、都市蓄熱(ヒートポンプ、ヒートパイプなど)や湧水公園などの環境用水にも使用されています。
汚染された地下水を調査する
そんな地下水が汚染されることがあります。原因は重金属、有機溶剤、油、農薬等で、自然的原因や公害などによって起こります。地下水の汚染が明らかになった場合は、汚染範囲を確認して原因を究明する必要があります。そのために行われる調査を汚染井戸周辺地区調査と言います。汚染井戸周辺地区調査は地下水モニタリングの1つに数えられています。

〈地下水モニタリング〉
※土壌汚染対策法に基づき都道府県知事が毎年度実施する

1.概況調査
2.汚染井戸周辺地区調査
3.定期モニタリング調査

また、地下水汚染と土壌汚染は密接に関係しています。このため土壌汚染が判明した場合にも汚染井戸周辺地区調査は必要に応じて実施されます。
汚染井戸周辺地区調査の実際
環境省の「水質モニタリングの手引き」によれば、汚染井戸周辺地区調査の範囲設定に当たっては、帯水層の鉛直分布を考慮しながら、汚染物質の種類、帯水層の構造、地下水の流向・流速等を勘案し、汚染が想定される範囲全体が含まれるようにします。飲用井戸は必ず調査し、また、利水影響が大きい井戸は優先して調査することになっています。
汚染井戸周辺地区調査によって把握された汚染地域は継続監視調査の対象となり、年1回以上、特定地点において汚染状態を調査することになります。継続監視調査を数年間実施すると汚染井戸周辺地区調査が再び行われ、汚染範囲の確認などを改めて実施します。