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遺贈
遺贈
法的に認められた遺言により財産を贈与する
遺贈とは、遺言により財産を他人に贈与すること。しかし、法律的にはどのような遺言でも認められるわけではなく、民法が定める方式に則った遺言が必要とされます。
〈民法の定める遺言の形式〉
・自筆証書遺言…すべて自分一人で作成できる遺言。無料で作成できるが、法律で厳格に書き方が決められている。
・公正証書遺言…公証人と証人2名の立ち会いの下で遺言内容を公証人に確認してもらい作成する遺言。
・秘密証書遺言…遺言書の存在のみを公証人に証明してもらう遺言。遺言内容は秘密になるが、亡くなった後に相続人に発見される確率を高めることができる。ただし、遺言書に不備があっても訂正される機会がないため、無効となる場合がある。
・特別方式による遺言…前述の普通方式の遺言を使えない場合に認められる遺言。危急時遺言(臨時遺言)と隔絶地遺言がある。
①危急時遺言(臨時遺言)…死が目前に迫っている場合に認められる遺言。遺言者が口述した内容を別の人が書き留める(普通方式では代筆は認められていない)。一般危急時遺言と難船危急時遺言(船舶や飛行機に乗っている時)があり、一般危急時遺言の場合は3人、難船危急時遺言の場合は2人の立ち会いが必要。遺言書には署名・押印をし、家庭裁判所で確認手続きを行うことで有効となる。
②隔絶地遺言…一般社会から離れた場所(例えば刑務所)にいて普通方式の遺言が不可能な場合に用いる遺言書。一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言があり、一般隔絶地遺言は伝染病による行政処分のために交通を断たれた人が利用できる遺言。刑務所に服役中の人や被災地にいる人も利用が可能だが、警察官1人、証人1人の立ち会いを必要とする。船舶隔絶地遺言は船舶に乗っているために陸地から離れているときに行う遺言。難船危急時遺言とは異なり、飛行機の場合は該当しない。船長または事務員1人、証人2人の立ち会いを必要とする。
遺言執行者が重要になることも
しっかりした遺言が残されていれば遺贈はスムーズに進みます。例えば「自宅は長男に相続させる」という遺言があれば、相続開始と同時に長男は自宅に対する権利を主張できるようになります(相続登記を済ませていなくても主張できる)。相続人に含まれない人(例えば店長など)が遺贈を受ける場合でも、遺言執行者(遺言を実行する人)が選任されていれば登記なしで権利を主張でき、しかも登記をするのに相続人の協力も必要ありません。しかし、遺言で遺言執行者が選任されていない場合は、遺贈を受けた人は登記が必要となり、相続を巡るトラブルに発展する可能性があります。