ウチコミ!

一般承継人

「継承」か「承継」か
昔から「一子相伝の○○継承者」などといった用語がメディアで語られていることもあって、「継承=受け継ぐこと」という意味は広く知られていると思います。しかし、「承継」というと引っかかったり、「間違っているのでは?」と疑う人もいるのではないでしょうか。
辞書を見ると「継承=前代の人の身分・仕事・財産などを受け継ぐこと。承継」「承継=前の代からのものを受け継ぐこと。継承」などと書かれており、「結局同じ意味なのでは?」と思ってしまいます。しかし、少し掘り下げて考えると、大きく意味が違ってくるのです。 まず、「継承=前代の人の身分・仕事・財産などを受け継ぐこと」と書きました。先代が築いた身分、仕事、財産、それに伴う権利など、具体的なものを引き継ぐときは「継承」が使われるのです。これは、漢字の順番も関係しています。「継」はあとを引き受けること、継ぐこと。「承」はうけたまわること、他人の意図を受け入れることです。つまり、「引き継ぐことにより前任者の思いを理解する」といった意味が強くなります。
一方の「承継」は、あまり具体的なものには使われません。地位や事業、精神など、抽象的なものに使われます。まずは前任者の思いを理解し(承)、その上で跡を継ぐ(継)、といったニュアンスが強くなるのです。
とは言え辞書の例でもわかるとおり、これらの言葉の使い分けには曖昧な部分があります。そのような場合は「承継」という言葉が多く使われるようです。例えば事業を継ぐ場合、「事業継承」ではなく「事業承継」と呼びます。
さらに、「承継」には「権利または義務を引き継ぐ」という法律用語としての一面があります。このため法律のジャンルでは「承継」がよく使われるようです。
一般承継人は「他人の権利義務を一括して承継する」人
不動産の世界では、「一般承継人」「特定承継人」という用語があります。 一般継承人とは「他人の権利義務を一括して承継する人」のことで、包括承継人とも呼ばれます。一般承継とは、承継する対象となる人物の持つ権利や財産などをそっくりそのまま受け継ぐことです(譲渡が禁止されている債権などは除く)。例えば、相続において財産等を包括的に承継する相続人は一般承継人と言えます。また、会社の合併によって新たに生み出された会社が一般承継に該当することもあります。
一方、一般承継以外の承継を「特定承継」と言います。特定の物や権利のみを受け継ぐのが特定承継であり、例えば売買によって所有権を取得する者は「特定承継人」に当たります。