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囲繞地通行権

公道との接点がない土地を使うには
いわゆる袋地、無道路地、他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者が、囲繞地(いにょうち。その土地を囲んでいる他の土地)を通行できる権利のことを囲繞地通行権と呼びます。民法で定められている権利であり、「公道に至るための他の土地の通行権」とも呼ばれています。
「囲繞地に囲まれている土地」は、公道との接点を持っていません。他にも袋地には不都合な点があります。

・建築基準法により新たに家を建てたり建て替えたりすることができない
・周囲の建物により日当たりが悪い場合がある等々

もっとも、先にも述べたとおり袋地に住む人、所有する人には囲繞地通行権が認められています。つまり公道には出られるのですが、必ず他の人の土地を通ることになります。民法は私道を設置する根拠法ともなっています。もともとは一筆の土地(登記された1つの土地)を親族間などで分割したりしているうちに袋地になったケースが多いようです。
ただし、袋地の所有者が認められる通行権はあくまで必要最小限のものに限られます。また、通行する土地の「損害」については、償金を支払う必要があります。この場合の損害は通行することですので、実際には「通行するには対価が必要」ということになります。 ただし、例外的に無償で通行できるケースもあります。

※民法第二百十三条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。

したがって、袋地の購入を検討する場合はまず不動産登記簿表題部を見て「分筆」の記録があるか確かめた方がいいでしょう。
袋地でも建築可能になる場合がある
袋地はデメリットが多いことから、価格評価は低い傾向があります。特に、接道義務を満たさない袋地は、新たに家を建てたり、建て替えたりすることができないようになっています。
ただし、次の3つの方法によって建築・建て替えが可能になる場合があります。

①公道に面している隣家の土地を購入することで接道義務を満たす
②部分的に保有している土地を囲繞地と「等価交換」することで接道義務を満たす
③通行地役権(隣地の所有者の合意によって土地を使用する権利)を得て接道義務を満たす(ただし登記が必要)

以上のような条件をクリアできれば、再建築不可だった袋地も建築可能となり、結果として格安物件を手に入れたのと同じ効果が期待できます。