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居抜き

「居抜き物件」の由来とは
不動産用語の中にはちょっと不思議な言葉もあります。「居抜き」もその1つです。 居抜きとは、工場や店舗などをその内部の設備や商品、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸することです。
居抜きの名前の由来が2説あります。
1つは「居を抜く」ということ。「居」はその場所に人がいることを意味しますから、設備等が残っている物件から人だけがいなくなることを「居抜き」と表現した、というわけです。
もう1つは関西由来の言葉だという説。関西では固ゆでのゆで卵を「煮抜き」と呼んでいます。沸騰したお湯で卵を「煮抜く」のがその由来ですが、一方で賃貸物件は契約終了時には空っぽの状態になります。この「空っぽ」を卵の殻に例えて、中身が残っている状態を「卵を煮抜いた(ゆで卵にした)」ということに例えて「煮抜き」と称していたのです。ところが、関西以外に伝わるにしたがって聞き間違えが起こり、いつの間にか「居抜き」になった、という説があります。
ちなみに武道の技には有名な「居合(いあい)」と呼ばれる剣術もあります。抜刀術と呼ばれることもありますが、「居合」とは元々は「座って行う技」のことであり、多くの抜刀術が座った状態での抜刀技術を重視することから「居合」と呼ばれるようになったという説、抜刀した状態で戦う「立合(たちあい)」に対し、その場にいたまま瞬時に抜刀するので「居合」と言われるようになったという説など、諸説あるようです。居合と合わせて考えると、「居を抜く」から「居抜き」になった、という説が有力な気もしてきますね。
メリット・デメリット
居抜き物件のメリットは、何と言っても開業時に必要な初期費用を抑えられるということです。内部設備や内装などが揃っているので、同様の用途であれば初期費用を大幅に抑えられます。工事が必要だとしても小規模で済むでしょうから、工期を短縮して早く開業できます。もちろん、浮いた工事費を他に回すこともできるでしょう。
デメリットとしては、前の事業者が使っていたレイアウトをそのまま引き継いでしまうことが挙げられます。もし同業種で開店するのであれば、以前に来店したことがあるお客様にとっては「新店舗」という印象が薄くなってしまうかもしれません。一方、レイアウト等を大きく変更すると、まっさらな新物件や中古物件とは異なり既存の設備等を撤去する必要が出て来るため、かえってコストがかかってしまうことも考えられます。居抜き物件を購入する際は、購入前とは違うコンセプトの使い方をしたり、壁紙などを変えることによって印象をリニューアルする必要が出て来るでしょう。