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インフラ長寿命化
インフラ長寿命化
集中的に建設されたインフラ
日本は戦争に負けましたが、その後「特需景気」や「高度成長期」などを経て経済的に復活します。1960~1970年代の高度成長期の頃には、多くの道路や上下水道、橋、公共施設などが建設されるようになっていました。しかし、それからもう数十年が経ち、「インフラ(インフラストラクチャー)の老朽化」が問題になっています。特に建設後50年以上経過した施設の割合が加速度的に高くなると予想されるため、老朽化が一斉に進むと言われています。 インフラは社会に必要不可欠なものです。治山治水、社会経済活動基盤、生活基盤などは過去から蓄積されてきたものも多く、年月が経てば劣化します。このため、政府主導でインフラの長寿命化を図る施策が展開されています(インフラの維持管理・更新等は、一義的に法令等に基づき各インフラの管理者の責任の下で行われるべきものとされています)。
インフラ長寿命化基本計画
平成25年には「インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」で「インフラ長寿命化基本計画」が取りまとめられています。その中で目指すべき姿として、
①安全で強靱なインフラシステムの構築
②総合的・一体的なインフラマネジメントの実現
③メンテナンス産業によるインフラビジネスの競争力強化
という目標が掲げられています。インフラ長寿命化計画では「必要なインフラの機能を維持していくためには、メンテナンスサイクルを構築するとともに、それらを支える技術、予算、体制、制度を一体的に整備することが必要」「個別施設毎の長寿化計画」「民間企業の活用」など、様々な議論が盛り込まれています。また、国や地方公共団体だけでなく、さらに産学官の連携によって適切な役割分担を行い取り組みを進めていく必要があるとしています。
新技術とデータの活用
平成24年12月には「笹子トンネル天井板落下事故」が起きました(死者9名、負傷者2名)。これを契機に、トンネル天井板の緊急点検が開始されています。
インフラ長寿命化計画は個別施設計画が2020年度中を目標に進められていますが、達成状況は分野・施設によってまちまちです。国土交通省は令和元年12月に「デジタル技術の進展を踏まえた規制の総点検 インフラの老朽化と新技術・データ活用について」という資料を提出し、その中では「事後保全(施設の損傷が拡大した段階で大規模な修繕等により機能回復を図る)」から「予防保全(施設の損傷が軽微な段階で予防的な修繕等により機能保持を図る)」への転換などが提唱されています。また、新技術やデータ活用(ICTやAIなど)も積極的に取り入れ、建設現場の生産性向上を図るとしています。