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違法貸ルーム

多人数を押し込むために法を犯す
一般家庭やマンション、共同住宅などであれば、お客さんを泊めることもあるでしょうし、家族が増えることも珍しくないでしょう。しかし、居住用施設として防火・避難関係等の規定などに照らし合わせてみると、多人数が居住するにはそれなりの条件があります。例えば、

・戸建住宅やマンションなどの一住戸を改修して多人数を住まわせている
・居住以外の用途で申請していながら実際には多人数を居住させている

こういった形で多人数が住む建築物は居住用施設としての要件を満たしておらず建築基準法に違反しているので、違法貸ルーム(いほうがしるーむ)と呼ばれます。安価なシェアハウスなどに多いとも言われますが、国土交通省のホームページにも次のような例が紹介されています。

・木造2階建ての戸建て住宅や事務所ビルの1フロアを改造し、建具等で元々の部屋を人一人がようやく寝起きできる程度の広さの空間に区切って人が住んでいる。 ・戸建て住宅地の中にありながら、貸しオフィスや貸倉庫として募集がされ、実際にはその建物で大勢の人が寝起きをしている。

家を改造してほとんど寝床しかスペースがないような部屋をたくさん詰め込んだり、倉庫のようなところに多人数を押し込んで住まわせるようなことをすれば違法となります。本来の目的と異なる違法な改造を加えると、人が住むのに壁が燃えやすい板壁だったり、窓がなかったりします。防火上の問題はもちろん、人が長い時間を過ごすと想定される「居室」には採光などのために一定の窓が必要なのです。
主な違法事項としては、他にも次のようなものがあります。

・防火上主要な間仕切壁関係
・非常用照明装置関係
・居室面積関係
・窓先空地関係

※「窓先空地」とは東京都や横浜市など、一部の自治体でのみ採用されている制度。ここで言う「空地」とは「建築物が建てられていない土地」という意味で、共同住宅で火災が起きたとき避難を容易にするために1階の住戸の窓に面する敷地に数mの空地を設けておく、というもの。

国土交通省では窓口を設けて違法貸ルームの情報提供を求めており、2018年の時点では「是正は進んでいるものの、約8割が是正指導中」とされています。
貸す側にしてみれば、簡単に仕切ったりしたスペースを居住用に安く貸し出す代わりに多人数を集めやすいので、大きな利益が期待できます。しかし、かつてはインターネットカフェ業者がレンタルオフィスと偽って多人数に賃貸しながら、火災報知機などを設置していなかったこともありました。生活が苦しくなると安い家賃に引かれるのが人情ですが、もしそのような事態になっても安全性が確保されていない違法な物件には気を付けたいものです。