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移動等円滑化経路協定

異なる施設間でのバリアフリー
バリアフリーという概念はかなり一般化したと言えると思いますが、行政においては「バリアフリー化するための経路の整備、管理に関する協定」を移動等円滑化経路協定と呼んでいます。根拠法は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」で、土地所有者等全員の合意によって締結され、市町村長の認可を得て公告されるようになっています。
移動等円滑化経路協定は、以下のような案件について定められます。

〈高齢者、障害者等が生活上利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設などが所在し、バリアフリー化のための整備を進めるべく指定される一定の地区(重点整備地区)内の一団の土地について締結され、経路案内設備、エレベーター、エスカレーター等の整備、管理などについて定められる〉

例えば障害者用のトイレや待合室等などの設置が困難な建物等について、近接の建物等と連携を取ることにより、バリアフリー化を促進します。
例えば鉄道駅でバリアフリー化のために障害者用のトイレなどを設置したいのだがスペースが確保できない、といった場合に、隣接する商業ビルと移動等円滑化経路協定を結びます。商業ビルに十分なスペースがあり、障害者用トイレ等も問題なく設置できれば、鉄道駅→商業ビルを移動することでスムーズに障害者用トイレ等に到達することができるようになる、というわけです。
ちなみに、協定の公告後に土地の売買等によって所有者となった者についても、当該協定に基づき管理等を行う必要が生じます(公告後に土地の所有者等となった者に対してもその効力が及ぶ「承継効」が生じる)。
制限については重要事項説明書で事前に知らされる
とは言え、何も知らなかった新しい所有者が「実はバリアフリー化によって次のような定めがあるのだ」と後で知らされたら面食らってしまうでしょう。そうならないように、不動産の重要事項説明書には移動等円滑化経路協定による制限が明記されるようになっています。
逆に言えば、バリアフリー重点整備地区内の移動等円滑化経路協定区内の土地所有者は協定に従って各々の経路、または経路を構成する施設の設備・管理を行い、施設間に問題となる段差などが残っていたら移動の円滑化が確保されるように対処しなければならないということです。協定によっては、協定に違反した場合には違約金などが課されることもあります。なお、Googleなどで移動等円滑化経路協定について検索すると自治体の取り組みを確認することができます。