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一時滞在施設

帰宅困難者を一時的に受け入れる
災害大国である日本では、日頃の備えの重要性は言うまでもありません。しかし、予想を超えた災害に遭遇した時、対応が間に合わないことがあります。2011年3月11日に起きた東日本大震災では、多くの鉄道やバスなどが運行停止となり、首都圏では多数の帰宅困難者が発生しました(当日中に帰宅できなかった帰宅困難者は515万人に上ると推計されています)。このような事態に対応するために設けられているのが「一時滞在施設」です。
大地震が起こると屋外にいた人々は待機する場所がなく、帰宅が難しくなることがあります。一時滞在施設は帰宅困難者を一時的に受け入れ、安全に滞在できるようにするための施設です。一時滞在施設には集会場や学校など様々な施設が想定されますが、耐震性があり、滞在者を受け入れて支援することができる等の条件を満たしている必要があります。
なぜすぐ帰ろうとしない方が良いのか
例えば近い将来、首都直下型地震が予想される東京都では、帰宅困難者等に対する対策が進められました(内閣府と共同で設置した「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」、「東京都帰宅困難者対策条例」の制定など)。東京都防災ホームページでは、『東京都防災ガイドブック』『帰宅困難者対策ハンドブック』などがPDFで見られるようになっています。
東京都が帰宅困難者対策の主な柱としているのが「一斉帰宅抑制の推進」「安否確認の周知」「一時滞在施設の確保」「帰宅支援」の4つです(前者2つは事業者の責務、後者2つは公の責務)。これらは東京都帰宅困難者対策条例の取り組みで、まず大規模地震発生の際は「むやみに移動を開始せず、職場や安全な場所に留まること」を呼びかけています。災害発生から72時間(人命救助のタイムリミット。これを過ぎると生存率が著しく低下すると言われている)は救命救助活動に専念しなければなりませんが、大渋滞が起きると救急車などが到着できなくなること、そして帰宅困難者が二次被害に遭う危険があることから一斉帰宅の抑制が必要だとされています。
一時滞在施設に関しては、「行き場のない帰宅困難者を原則3日間受け入れる施設」として公立施設が指定されたり、民間施設に対して協力を取り付けたりしています。一時滞在施設は東京都防災マップで位置情報がわかりますし、防災ホームページでは施設一覧を閲覧することもできます。
地方都市でも進む取り組み
地方都市でも、帰宅困難者問題への対策が進んでいるところがあります。例えば東日本大地震の時、仙台市では仙台駅周辺で約11,000人が帰宅困難者となりました。南海トラフ地震等の大災害では同様に帰宅困難者が発生することが予想されるため、帰宅困難者対応訓練や災害時帰宅支援ステーション(水道水やトイレ、道路情報等の提供が受けられる店舗)拡充などの取り組みがなされています。