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延焼防止性能

技術的基準が整備された
火事が起こった際、余所に延焼しないための建物性能のことを延焼防止性能と言います。
以前の建築基準法では、建物のすべての壁や柱などに対して一律に耐火性能を要求することで延焼防止性能を確保してきました。一方で、外壁や開口部といった外殻の防火性能を高めれば、構造物に対して一律に耐火性能を要求しなくても延焼防止性能は確保できるという考え方もありました。
このため延焼防止性能について技術的基準が整備されることになり、平成30年(2018年)6月には建築基準法が改正されました。
建築基準法改正のポイントは以下の通りです。

・防火地域・準防火地域において延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率制限を10%緩和する(以前は防火地域において耐火建築物とする場合のみ建ぺい率は10%緩和されていた)
・外殻の防火性能を強化することにより建物内部の柱などに木材を利用する設計を容認する(以前は一律に耐火構造が要求されたため木材は石膏ボードなどで被覆する必要があった)

建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことで、建ぺい率が緩和されれば(増えれば)それだけ広い設備を建設することが可能になります。
建ぺい率10%緩和は、準防火地域における耐火建築物及び準耐火建築物にまで対象が拡大されました。
なお、同改正では一戸建て住宅を他の用途に転用する際の規制も合理化がなされ、空き家活用の促進が図られています。
延焼防止建築物ではデザイン性が向上
延焼防止性能を考える上で重要な耐火建築物・準耐火建築物についても押さえておきましょう。これらについては建築基準法に規定があります。

・耐火建築物
建物の壁・柱・梁・屋根・階段といった主要構造部を鉄筋コンクリート造や耐火被覆をした鉄骨造などによって耐火構造にしたもの。外壁の開口部で延焼の恐れのある部分には防火設備を備え、火災が発生しても一定の時間は倒壊しない

・準耐火建築物
耐火建築物より1ランク低い構造(準耐火構造)で耐火性能を有したもの

前述のとおり、以前は防火性能を高めるため木の柱や梁などを石膏ボードなどで覆わなければなりませんでしたが、延焼防止建築物では開口部に防火性能の高い材質を用い、外部からのもらい火を防ぐと同時医に内部から炎が噴出するリスクを抑えることで、木材をそのまま仕上げとして使用することができるようになっています。これは建物のデザイン性の向上に寄与することとなりました。