不動産用語に青地(あおち)という言葉があります。これは公図において国有地である水路や河川敷を示すもので、青道とも呼ばれます。青道は水路等の土地の形状を反映した呼び名だと考えられます。青地を「あおじ」と読んでしまうと織物などの地の色が青いものを指してしまうので、注意が必要です。余談ですが、「あおち」という名字の方もいらっしゃいます。
一定の公簿(登記簿)に記載することを登記と言い、登記事務を担当する機関を登記所(正式名称は法務局、地方法務局、支局、出張所)と呼びます。公簿に登記されるのは権利の保護や取引の安全を目的として広く社会に公示するため。不動産登記もその1つです。そして、登記所には公図という地図が備えつけられています。公図は土地の形状や隣接地との関係が一目でわかるようになっており、赤、青、黄色、薄茶色、黄緑色などで着色されているものもあります。この青く塗られた部分が青地、青道と呼ばれるのです。
- 公図、青地は不正確?
- 青地は地番の記載がない国有地ですので、一般の宅地にはならないはず。しかし、現状を調べてみると長い年月が経つうちに水路がなくなってしまったりして、青地を含んでいる敷地に住宅が建っていることもあります。敷地内に青地を含む中古住宅を購入する場合は、青地を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが無難だと言われています。
公図と現況がずれていることで土地境界線を巡るトラブルに発展することもあります。と言うのも、公図の多くは明治時代の地租改正に伴い作成されたものだからです。当時は今ほど測量技術が発達しておらず、公図自体が徴税の参考資料として作成されたものであったことから、現況とは一致しないことも。現在では地籍調査という事業で国土交通省が公図を正確な地図へ置き換える作業が進んでいますが、小さなずれ(ずれが10cm以上30cm未満)を含めると公図と現況がずれている土地は全国で9割を超えるようです。したがって公図の効力はあまりないとも言われるのですが、公図の他に公的な資料がない土地では現在でも重宝されていたりします。公図によって土地の所有権が左右されることはありませんが、土地の正確な位置がわからないと隣地との境界争いなどに発展することがあります。法務省では「筆界特定制度」を創設して筆界(土地の区画)の特定を支援しています。また、市町村等により地籍調査が行われ、正確な地図等が作成されることもあります。 - 青地を巡るトラブル
- 例えば隣地との間に青地がある場合、こちらは青地を尊重しているが、あちらの家は「昔からウチの土地だった」と主張し、青地に木を植えたり倉庫を置いたりして所有地を増やしている……といったトラブルが起こることが考えられます。この場合、青地は国有地ですから、一義的には国と隣家の間の問題であって、こちらに意見する権利はありません。ただし、青地に植えた木がこちらの日照権を侵害している、といった場合は争う余地があります。