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空家に係る譲渡所得の特別控除

空家問題を解決するために
核家族化が進んだこともあり、空家の問題は身近なものになっています。例えば子供が都会に出て成人し、故郷と離れたところで家庭を持ち、新居で生活を始めたとします。すると親が住んでいた実家にはやがて誰も住む者がいなくなり、空家問題が発生するというわけです。かつては後を継いだ人が空家のまま保有していれば、固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3で済むという特例措置がありました。しかし、空家問題が深刻化する中、平成27年には「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特別措置法)」が施行されます。これにより自治体によって「特例空家」と認定されると、先に述べた「住宅用地の特例」がなくなるようになりました。「特例空家」は倒壊等著しく保安上の危険がある建物などに適用され、状況が改善されれば解除されることもあるのですが、いずれにせよ「空家はとりあえず放置した方が得策」という状況が「空家は早めに処分しないと損」という状況へと変わってきたのです。
同時に、増加し続ける空家を減らすために自治体や国も様々な取り組みを行っています。「空家に係る譲渡所得の特別控除」もその一つです。
3000万円控除が受けられる
「空家に係る譲渡所得の特別控除」とは、家を相続した人が一定の要件を満たして売却すると譲渡所得から3000万円を控除することができる、というものです。譲渡所得には譲渡所得税がかかるので、3000万円まで控除されればたいへん助かりますね。ただし、「一定の要件」を満たさなければなりません。まず建物については次の要件があります。

〈被相続人居住用家屋…相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまるもの

・昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
・区分所有建物登記がされている建物でないこと。
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。〉

また、2019年4月1日以降の譲渡については、相続開始の直前に被相続人が老人ホーム等に入所していた場合についても適用されることになっています。さらに、家を取り壊して更地にして売った場合も適用対象となります。
他にも「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期限である2023年12月31日までに売ること」「売却代金が1億円以下であること」「他の特例等の適用を受けていないこと」などの条件があります。
実際にはさらに細かい規定がありなかなか厄介なのですが、家の処分に不動産業者などが関わっていれば適用の可否を教えてくれるでしょう。なお、特例の適用を受けるためには必要書類を添えて確定申告をする必要があります。