賃借権とは、賃貸借契約を交わすことによって、借主が契約を交わした物件や土地などを使用したり収益を得たりできる権利をのことをいいます。借主が貸主に対して支払う賃料や地代が必ず発生します。
- 使用貸借
- 賃料や地代が発生する賃貸借契約に対して、貸主と借主との間で不動産などを無償で契約することを使用貸借といいます。
- 賃貸借契約と使用貸借契約
- 賃貸借契約は、借地借家法に基づいて契約されます。一方、使用貸借契約は、原則、いつでも貸主が契約を解除することができ、借地借家法は適用されません。使用貸借契約の多くは、親子や兄弟、親族などの間で交わされることが多いようです。具体的には、親の土地に子ども名義の住宅を建てたり、個人の土地に会社の建物を建てたりします。
- 借地借家法
- 借地借家法とは、建物の所有を目的とする地上権と土地の賃貸借、建物の賃貸借について定めた法律です。
- 借地権
- 借地借家法に基づく借地権には、普通借地権、定期借地権などがあります。普通借地権とは、契約期間の満了後も更新できる借地権のことをいい、借地権の存続期間は30年以上です。とくに更新手続きをする必要はなく更新される法定更新となります。土地の貸主は正当な事由がない限り、更新を拒否することはできません。
定期借地権には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権があります。
一般定期借地権は、存続期間を50年以上とし、契約期間が満了したら契約更新できない借地権です。契約満了後は、借主は更地にして返還します。
建物譲渡特約付借地権は、存続期間を30年以上とし、アパートやマンション、店舗、事業所などの建物を建設して賃貸借するものです。契約期間満了後は、借主は建物を残したまま返還します。そのため、土地の貸主は、契約満了後は建物の貸主として賃貸経営などを継続することができます。
事業用定期借地権は、存続期間を10年以上50年未満とし、事務所や店舗、工場などの建物を建設して事業用に土地を賃貸借するものです。契約満了後、借主は更地にして土地の貸主に返還します。 - 借家権
- 借地借家法に基づく借家権とは、借主が賃貸借契約をした物件に継続的に居住することができるなどの借主の権利を定めたものです。借家契約には、定期借家契約と普通借家契約があります。定期借家契約とは、賃貸借契約をするときに一定期間の契約をし、契約満了の期日に確実に契約を終了する契約のことです。普通借家契約とは、契約期間が満了しても更新できる一般的な賃貸借契約のとです。
賃借権と借地借家法の基礎
- 借地契約の基礎を知ろう
- 賃借権(ちんしゃくけん)とは、賃貸借契約に基づき、借主が契約の目的物を使用・収益する権利を言います。使用貸借の場合は貸主と借主の間で不動産を無償で契約しますが、賃借権では借主は貸主に対して賃料や地代を必ず支払います。そして、建物の所有を目的とした地上権・土地賃貸借(借地契約)と建物の賃貸借(借家契約)について定められた法律が、借地借家法です。今回は、賃貸住宅における借地契約について基礎的な考え方を紹介します。
- 契約期間
- 賃貸住宅を契約するとき、その契約期間を定める際には必ず1年以上でなければなりません。1年未満の場合には、期限の定めがない契約と見なされる強行規定があります。ただし、建物を取り壊すことが決まっている場合は、書面にその旨を書いて契約を締結すれば、建物の取り壊し時期に賃貸借契約を終了することができます。
- 契約の更新
- 普通の賃貸住宅契約では、契約期間を2年か3年に定めています。しかし、契約期間が2年だからと言って、賃借人(借主)が出て行くとは限りません。借地借家法は「住まいの安定を確保」することを目的としており、契約は自動更新することが原則となっているのです。
普通は賃借人を追い出そうとはしないと思いますが、事情があって部屋を空けてほしかったり、賃借人がトラブルメーカーだったりすることもあります。賃貸人(貸主)が更新を拒絶して賃借人に出て行ってもらうには、契約期間満了の他に「正当な理由」が必要になります。何が「正当な理由」になるかは判例によりますが、賃貸人が建物を使用する必要があることや賃貸借に関するこれまでの経過(例えば賃借人がたびたび家賃を滞納していた等)などを総合的に判断することになります。それでも正当な理由として不十分な場合は、立ち退き料を支払うことで補完できます。更新拒絶の手続きを取っても賃借人が出ていかない場合は裁判になります。 - 賃料の変更
- 契約を変更する場合は契約当事者が合意をして行うのが基本です。「来月から賃料を上げるのでよろしく!」と一方的に通告しても認められません。協議して決まらない場合には調停、裁判を利用することになります。
- 建物の所有者が変わったとき
- 借地借家法では、賃借人が建物の引き渡しを受けていれば、その後に建物の所有権を取得した者に対して対抗できると定めました。つまり賃貸人が建物を売却し、新しい所有者が「出て行ってくれ」と言ったとしても、すでに住んでいる賃借人は従う必要はありません。