ウチコミ!

投資法人

「法人」は何のためにある?
権利や義務と言えば、主に人が主体になるものとしてイメージされると思います。「法人」にも権利や義務がありそうです。しかし、「法人」は人間ではありません。
ここで仮にあなたが偽物の商品を売りつけられ、損害を被ったとしましょう。個人から売りつけられたのであれば、裁判で訴えるべきはその個人です。しかし、会社から売りつけられたとしたらどうでしょう。訴えるべきは商品の発送をした人でしょうか、営業をした人でしょうか、それとも社長でしょうか?
 法人というのは、権利・義務の主体として認められる法人格(法律上の人格)のこと。権利・義務の主体となることができるのは人(自然人)と法人のみであり、このケースで言えば、会社が法人であることによって訴えることが可能になるわけです。さらに法人には不動産を所有したり、物の売買や貸し借りなどをする権利も認められています。投資法人も、このような法人の1つです。
投資法人が破綻しても投資が失われることはない
投資法人とは、正確には「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいて特定の資産への投資、運用のために設立される法人のことです。投資法人が運用する投資信託は「会社型投資信託」とも呼ばれます。
例えば投資法人は組織として投資主総会・役員会・会計監査人を備え、資産運用会社とは資産運用委託契約を、資産保管会社とは資産保管委託契約を、投資主名簿等管理人とは投資主名簿等管理事務委託契約を、一般事務受託者とは一般事務委託契約を結びます。これらの会社は大半を同一の法人が兼務することもあれば、複数の法人に委託することもあります。また、資産運用会社はスポンサーや親会社などがバックアップしています。
不動産投資信託に投資する時は投資法人が投資先になりますが、投資法人は資産の運用は行いません(法律で投資法人が自ら運用を行うことは禁止されています)。あくまでお金を集めて管理するのが投資法人の役割で、実際の運用は資産運用会社が行います。このように複雑な構造になっているのは、資産運用会社などの経営がうまくいかなくなって破綻しても、投資家の資金を保護するためです(ただし元本や利回りは保証されません)。
不動産投資信託としてはREITが有名ですが、2008年10月9日にはニューシティ・レジデンス投資法人が国内のREITとして初めて経営破綻します。しかしニューシティ・レジデンスの株はその後も市場で取引されていました。同年11月10日には上場廃止となりましたが、株主の権利が消えてなくなるわけではありません(株式の価値は下がりますが)。ニューシティ・レジデンスは2010年にビ・ライフ投資法人によって吸収合併され、現在では大和ハウスリート投資法人として営業を継続しています。