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出口戦略

投資をいつ切り上げるのか
出口戦略は元は軍事用語で撤退作戦のこと。その狙いは人命や物資の損害を最小限に抑えて戦線から撤退することにあります。転じて、企業が損害の少ないうちに市場から撤退したり、株式・債券などを売却して資金を充実させることも出口戦略と言うようになりました。ベトナム戦争時にアメリカ国防総省内で使用された「exit strategy」という用語が始まりだそうで、あまり古い言葉ではありません。
不動産投資においては、2012年末から出口戦略という言葉が流行り始めたと言います。理由はアベノミクスの影響で売り手市場となったから。不動産投資における出口戦略は「その不動産に対する投資をいつ切り上げるのか」という意味になります。
出口戦略は本末転倒?
出口戦略は要するに「いかに売却するのか」という戦略ですが、建物を壊して一部の土地を売却したり、不動産を売らずにあえて保持し続けることなどまで考えると選択肢は多くなります。一方で「購入物件を選ぶ時点が出口戦略の始まり」という考え方があります。家賃収入(インカムゲイン)だけでなく、売却益(キャピタルゲイン)を得て初めて不動産投資は完結するのだ、と考えるのです。もちろん最初から長期保有を意図して不動産を購入する人もいるので、出口戦略をどうするのかはケースバイケースです。長期保有戦略を取る場合はリノベーションなどによって資産価値を維持し、入居者を確保し続けることでインカムゲインを積み上げることを目指します。売却にかかる諸経費や不動産譲渡税を考えると、出口戦略を重視するよりインカムゲインを重視した方が良い、という考えも成り立ちます。しかし、購入した物件を売却した時点で投資の収支が確定すると考えれば収益を最大化する戦略は必要ですし、多額のインカムゲインを得ていたとしても売却時に価格が大幅に下落していればそれまでの収益を吹き飛ばしてしまう可能性もあります。長期保有の場合であっても、投資の出口(売却、建て直し、相続など)は早めに意識しておいた方が良いでしょう。

物件購入前後で変わる出口戦略

出口戦略を成功させるためにはいくつかポイントがあると言われています。

〈物件購入前から始める出口戦略の例〉
  1. 投資家目線で出口戦略を意識して物件を購入する
  2. 最も高く売れるタイミングを見極めて売却する
  3. 少しでも高く売るための工夫をする
また、すでに物件を購入してしまった人が思うように収益が上げられない場合も出口戦略が必要になります。
〈物件購入後に考える出口戦略の例〉
  1. とにかく早く売却する(損切りする)
  2. ローンの借り換えで金利を下げる
  3. 管理契約の内容を見直す(例えばサブリースをやめて賃料収入を増やす)
物件購入時から出口戦略も考えておいた方がいいことは間違いないですが、すべてが計画通りに行くとは限りません。不動産投資を成功させるには臨機応変な対応も必要になるでしょう。