代価弁済とは、抵当権が設定された不動産の所有権または地上権を買い受けた人が、抵当権者の請求に応じて、その代価を支払った場合に抵当権が消滅する制度です。
- 抵当権
- 抵当権とは、家や土地を購入する際に銀行などからお金を借りるとき、その家や土地をローンの担保とする権利のことです。ローンが支払えなくなったときには、その家や土地を銀行などが取り上げます。
- 抵当不動産
- 抵当不動産とは、抵当権が設定された不動産のことです。
- 代価弁済の具体例
- Aという人物がBという人物に抵当権を設定した物件をローンを組んで売却していたとします。しかし、Bがローンを支払えない場合などに、BはCという人物に物件を売却します。この際、Aの請求によって、CがAに代金を支払うことで抵当権を消滅してもらうことを代価弁済といいます。
AがBに物件を売却したときの価格が2000万円だとすると、Cが支払う額はそれよりも少なくなります。しかし、Aにとっては、まったくお金が戻ってこないよりはベターと考えて、代価弁済を実行します。 - 抵当権消滅請求
- 抵当権が設定された物件を購入したCが、Aに対して抵当権の消滅を請求することを抵当権消滅請求といいます。抵当権消滅請求は、抵当権が実行される前に行わなければなりません。ちなみに、抵当権消滅請求は、Bは行うことができません。
- 物上保証人
- 物上保証人とは、担保を提供する人物のことをいいます。たとえば、Bが物件を購入する際の借金の抵当として、Bの親が自分の土地を担保とすることなどが多くあります。物上保証人は連帯保証人とは違い、担保とした物件などを失うことはありますが、Bの借金を返済する義務はありません。
- 連帯保証人
- 賃貸物件の借主や不動産の買主が家賃やローンを支払えなくなったときに、代わりに支払う義務のある人として、保証人、あるいは連帯保証人があります。法的な強制力は、保証人よりも連帯保証人が強くなります。保証人の場合は、たとえば借主よりも先に家賃の支払いを求められることはなく、支払いを求められた場合でも、「再度、借主に家賃の支払いができないか確認してほしい」などど、支払いを拒否することができます。
しかし、連帯保証人の場合は、たとえば借主が家賃を支払えなくなった場合に、借主に対して貸主が支払いを求めるのと同時に、連帯保証人にも支払いを求めることができます。さらに、支払いを求められた連帯保証人は、その請求を拒否することはできません。