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総合課税

所得金額を合計して計算する税金
不動産投資に関わる税制には「総合課税」と「分離課税」があります。
〈総合課税〉
各種の所得金額を合計して所得税額を計算する
〈分離課税〉
ある所得を他の種類の所得と合計せず分離して計算する
所得税は原則として総合課税です。総合課税の対象になるのは次の8種類の所得となります。
  • 利子所得(源泉分離課税に該当しないもの)
  • 配当所得(源泉分離課税に該当しないもの)
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 譲渡所得(株式・建物・土地を除くもの)
  • 一時所得
  • 雑所得
「不動産所得」が含まれていますね。不動産所得の内訳は次のとおり。
  1. 土地や建物などの不動産の貸付け
  2. 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
  3. 船舶や航空機の貸付け
つまり、家賃収入は不動産所得になります。所得税は5%から45%の7段階に区別され、段階に応じて税率が上がるようになっています。これは累進課税と呼ばれる仕組みです。例えば所得が「195万円以下」なら税率5%、「195万円を超え330万円以下」なら10%、「330万円を超え695万円以下」なら20%となっています。
大金を儲けたら税金が跳ね上がる?
ここで疑問が出てきます。もし、所得が331万円だったらどうなるのか。たった1万円所得が増えただけで10%も余計に税金を払わないといけないのか?と。あるいは所得が500万円ある人は500万円の20%、100万円も税金を払っているのか?と。
実は日本の累進課税は「超過累進課税」となっています。単純に所得全体に税率を掛けるのではなく、所得の基準額を超過した部分の税率だけが上昇するのです。
所得が331万円の人はまず195万円まで税率5%で計算。次の基準額は330万円なので、そこまでの差額330-195=135万円を10%で計算。そして「330万円を超え695万円以下」に該当する残りの1万円のみ20%で計算し、3つの数字を合計するのです。この計算法であれば所得330万円の人と331万円の人の払う税額の差はわずかで済みます(とは言え所得が増えると税率は大きくなるので、できれば家庭内などで所得を分散させた方が節税上は有利になります)。
分離課税は一定税率
一方、不動産を売買して得た利益は不動産所得になりません。不動産売買で得た利益は「譲渡所得」となり、分離課税が適用されるのです。土地や建物の売買では一時的に大金が手に入ることもありますよね。これを総合課税で処理すると税率が極端に高くなってしまうことがあるので、分離課税を用いることで税率の高騰を抑えているのです(長期譲渡所得か短期譲渡所得かで税率が異なりますが、所得税も住民税も一定税率になります)。