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農地法

農地改革の成果を維持発展させるための法律
農業に携わる人でなければ、農地法とは縁がないかもしれません。農地とは耕作目的に供されている土地のことであり、農地法とは「農地の保護や権利関係に関する基本的な法律」のことです。第二次世界大戦後、占領軍の強力な指導によって日本では「農地改革」が進みました。土地の所有者以外の者が耕作している農地を小作地と言いますが、2度の農地改革により地主制の解体、小作地の解放(自作農業の創設)などが進められます。その際、多くの小作地が国によって買い上げられ、小作農民に安く売り渡されたことにより、自分で土地を持って農業を営むことができる人が増えたのです。1950年に農地改革がほぼ完了した時、耕作地の80%超が解放されました。そして、この農地改革の成果を維持推進するため1952年に制定されたのが農地法なのです。
農地の売買・貸し借りなどには規制が設けられている
農地法の目的は「耕作者の地位の安定と農業生産力の増進」を図ることです。このため農地を売買したり、貸し借りしたり、転用したりする場合には規制が設けられ、農地法に基づいた許可や届出が必要になります。
農業に携わる人でなくても、農業以外の目的のために農地を手に入れると農地法と関わることになります。農地を宅地などとして使うには、「農地転用」の手続きが必要になります。直接に農地転用を規制するのは農地法の4条と5条です。これらの条文には「農地を転用するには原則として都道府県知事または指定市町村の長の許可が必要である」旨が最初に書かれています。農地法4条は、簡単に言えば権利者が農地を転用する行為について規定し、農地法5条は農地を転用するために権利を設定、または移転する行為について規定しており、いずれの場合も原則として許可を得る必要があります。
例えば権利者が農地を宅地にするために工事を行う場合は農地法4条によって規制されます。
農地を貸し出して借りた人がその農地に建物を建てたりする場合は農地法5条によって規制されます。権利の移転・設定については農地法3条で規定されています。
なお、農地転用の許否を判断する基準や手続きの詳細については、政令・省令・規則で定められています。
さらに農地が位置する場所によっては、都市計画法によって宅地などを造成する際に開発許可を得る必要が出て来る場合があります。
農業上の重要性が高いと転用許可が下りにくい
農地転用の許可基準については「立地基準」と「一般基準」の2つがありますが、特に「立地基準」は5つの区分に分かれており、農業上の重要性が高い農地ほど転用が厳しく制限されます。例えば「農用地区域内農地」と定められた農地は原則として転用が許可されることはありません。