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不動産特定共同事業法

任意組合型と匿名組合型
不動産投資には多くの法律が関わっています。「不動産特定共同事業法」もその1つです。不動産ファンドには「公募ファンド」と「私募ファンド」の別があり、公募ファンドはさらに「不動産特定共同事業」と「不動産投資信託」に分かれます。不動産特定共同事業とは、投資家から資金を集め、不動産を小口化した上で売買・賃貸を行い、その収益を配当として投資家に分配する事業のことです。不動産特定共同事業を行い商品を販売するには、不動産特定共同事業法によって許可を受ける必要があります。
不動産特定共同事業には、主に次の2種類があります。

任意組合型(購入型)…出資者が不動産の所有権を持つ。現物、または金銭を組合に出資する
匿名組合型(出資型)…所有権自体は事業者が持つ。組合員(投資家)は組合に出資する

これらはいずれも不動産流動化の一形態として分類されることがあり、投資家の収益は不動産所得となります。不動産小口化商品を設けることで、不動産を直接保有して運用するより少ない資金で投資することが可能になります。
ちなみに不動産流動化ではよく「ビークル」と呼ばれる組織が登場します。ビークルは特定目的会社など、不動産が生み出した利益を効率良く投資家に分配し、同時に何かあった時に投資家の利益を守るための仕組みなのですが、任意組合型や匿名組合型もビークルに分類されることがあります。
証券ではなく現物の不動産に投資する
不動産小口化商品は不動産投資信託に似ていますが、証券ではなく現物の不動産に投資します。また、「組合に出資、もしくは出資者の共同出資という形で投資する」「換金(解約)の方法は営業者(組合理事長など)買取と第三者譲渡の2つ。どちらも組合事業を運営する営業者の了解が必要」といった特徴があります。
不動産特定共同事業法は1994年に制定され、2013年と2017年に改正されています。もともと不動産特定共同事業法ができる前から不動産小口化商品は存在したのですが、不動産会社の倒産が起こって投資家が大打撃を受けるということがありました。そのため不動産特定共同事業法により不動産小口化商品等のルールが定められたのです。
法改正前には不動産特定共同事業を行うには資本金1億円以上を有し主務大臣の許可を受ける必要などがありましたが、2013年には一定の要件を満たした特定目的会社は届出のみで不動産特定共同事業を実施できるようになりました。2017年にはさらに「資本金1000万円以上」など、条件が緩和された「小規模不動産特定共同事業」が新設されたり、クラウドファンディングが可能になったりと、大幅な改正が行われています。