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簿価
簿価
不動産を取得した時の価格
簿価とは会計帳簿に記録された資産・負債の評価額のこと。正確には「帳簿価額」と言います。企業であれば、決算期ごとに簿価について適正な会計処理を行うことが求められます。
不動産の売買で言えば、簿価は住居などを購入したときの取得価格ということになります。例えば2億円で購入したマンションの簿価は2億円。その後市場価値が1億円に下がろうと3億円に上がろうと簿価は2億円で変わりません。ちなみにここで言う「1億円」「3億円」という数字は時価と呼ばれます。時価にはいくつかの種類があるのですが、中でも不動産鑑定士によって評価される「鑑定評価額」は最も「適正な時価」と呼ばれます。鑑定評価額は「不動産鑑定評価基準」に則って評価され、裁判所や税務署等でも採用される唯一の価格・賃料となります。
ただし、土地と建物では価値の扱いに違いが出てきます。土地は老朽化しませんが、建物は次第に傷んできます。このため土地の値段は時価が変動しなければ下がりませんが、建物の価値は次第に低下していくことになります。
不動産を簿価で売ることは難しい
例えば古い実家に誰も住まなくなったのであれば、実家を解体し土地を売却する必要が出て来ます。空き家を放置すると景観悪化など地域に悪影響を及ぼしたり、更地にしても固定資産税額が増加したりするので、早く処分したいと思う人も多いでしょう。これに対し、不動産投資目的で購入した不動産を売却する場合は事情が異なります。利益を得る目的で不動産を所有しているわけですから、当然高く売りたいのが人情。不動産取得時にローンを組んでいる場合は、ローンの残高より高く売りたいと考えるでしょう。
重要なのは不動産の価値を簿価=取得価格で考えないことです。土地以外の不動産、マンションや一戸建てなどの建物は購入した時点から価値が下がり始めます。基本的には法定耐用年数に則り減価償却され、取得するために必要とした費用を分割して経費化できるようになっていますが、当然ながら売却価格には建物の状態が影響してきます。
建物の取得価格から減価償却費を引く
不動産売却による損益計算は次の式で求められます。
売却価格 -(取得時の費用 + 売却のために必要となった費用)= 譲渡益
取得時の費用とは簿価のことですが、建物に関しては減価償却費を差し引いた分が簿価として扱われます。減価償却の方法としては定率法と定額法があり、選んだ方法を継続して使うことで建物の価値を計っていきます。
なお、売却時の損益がプラスになった場合は譲渡所得として課税されますので、売却を考える際は時価、減価償却費、税金なども考慮する必要があります。