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ROI

自己資金をどれだけ回収できたか
不動産投資ではROIという指標がよく出て来ます。ROIは「Return on Investment」の略で、「投資利益率」「投資収益率」と訳されます。「投資した自己資金に対して年間でどれだけ回収できたか」を示す数値のことで、不動産投資を行う上で欠かせない指標の一つです。基本的にROIには他人資金(銀行からの借入)を入れません。ROIは次のように算出します。

・税前キャッシュフロー(経常利益 + 減価償却) ÷ 自己資本 = ROI

ROIが高いほどレバレッジ効果が効いていると言うことができます。つまり、それだけ自己資金を出さずに儲けられている、ということです。
なお、この計算式は実際に物件を購入し経営を始めた後のものなので、予測で使う場合は次のように式を置き換えます。

・簡易版ROI:(家賃収入 - 返済額)÷ 自己資本 = ROI

ちなみに返済額(他人資本)がゼロの場合はいわゆる表面利回りと同じになります。

・表面利回り = 想定される年間家賃収入 ÷ 物件の購入価格(自己資本100%)

ROIを使えば不動産投資にかけたお金を何年で回収できるかもわかるので、早期回収を目指す場合には頼りになります(例えばROIが20%であれば5年で回収できると予測できます)。また、ROIはキャッシュフローから算出されるため、表面利回りなどよりもはるかに精度が高いシミュレーションを得ることができます。
ROIはあくまで「その時点」での数値
ただし、ROIにもデメリットがあります。まず、税前キャッシュフローが常に変化する数値であること。家賃収入は増減するものです。また、変動金利でローンを組んでいれば、ROIも変動します。つまり、ROIは検討したその時点での数値であることに注意する必要があります。ROIを活用するには、毎年きちんと計算し直す必要があります。ROIが低下すれば、それだけ投資金を回収できていないことになりますので、対策を考えなければならないでしょう。
特に予測でROIを使うのであれば、家賃収入と金利の設定に細心の注意を払う必要があります。楽観的な数値設定では実際に投資したとき思わぬリスクに直面する可能性がありますし、悲観的過ぎる数値を設定すると身動きが取れなくなってしまうかもしれません。ROIは高いほど良い数値ですが、希望的観測ではなく、現実に起こりうるリスクをできるかぎり把握した上で投資するように心がけた方が良いでしょう。