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RMBS

住宅ローンを担保にした証券
RMBS(Residential Mortgage Backed Securities)とは、住宅ローン債権を担保として発行される証券「住宅ローン債権担保証券」のことです。種類としては、資産担保証券(ABS)の一種に分類されます。日本では住宅金融支援機構(以前は住宅金融公庫)が発行する貸付債権担保住宅金融支援機構債券(以前は貸付債権担保住宅金融公庫債券)などがRMBSに該当します。住宅ローンとして有名な「フラット35」は消費者側から見れば単なる固定金利の住宅ローンですが、民間金融機関等が貸し出したこの住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取って証券化し、機関投資家向けに発行しているのが貸付債権担保住宅金融支援機構債券になります。元々RMBSはアメリカで発達、拡大した商品で、多くの住宅ローン債権をまとめて商品化するところに特徴があります。
この証券を購入した投資家は、住宅ローンの償還金(定められた期日に投資家に対して返却されるお金)や利子を受け取ることができます。一方で住宅ローンには長期固定金利という特性がありますが、同時に債務不履行や繰上げ償還などのリスクもはらんでいます。RMBSはそういったリスクを投資家に分散する手法として日本でも発行が拡大してきた側面があります。RMBSは高い流動性や利回り、信用力が魅力の証券ですが、世界経済に大ダメージを与えたサブプライムローン問題の引き金となった商品でもあります(後述)。
エージェンシーMBSとノンエージェンシーMBS
アメリカのRMBSには政府またはGSE(政府関連機関)が元利金支払いを保証しているエージェンシーMBSとそれ以外のノンエージェンシーMBSに大別されます。2000年代にはノンエージェンシーMBSの市場が拡大し、2006年にはMBS市場における新規発行額の44%程度を占めるようになりましたが、サブプライムローン問題以降は発行が激減。現在ではエージェンシーMBSが発行額のほとんどを占めています。
サブプライムローン問題
サブプライムローン問題は2007年から2009年にかけて、主にアメリカのサブプライムローン(信用力の低い個人や低所得者層を対象にした住宅ローン)の不良債権化と証券化商品の価格暴落によって世界的な金融・経済危機を招きました。当時のアメリカでは住宅購入・投資ブームが起こり、金融機関等も貸出競争に邁進。返済能力を超えた融資が当たり前のように行われ、サブプライムローンの利用比率も高まっていました。その結果、複数のサブプライムローンなどを担保にしたRMBSだけでなく、さらにRMBSを裏付けにした債務担保証券を作るなど、世界中で複雑な証券化商品が販売されていました。当初は高格付けを得ていた証券化商品ですが、アメリカで住宅バブルが崩壊するとサブプライムローン等が不良債権化。証券価格も大幅に下落し、金融機関やファンドなどの財務内容を大幅に悪化させることになりました。