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IT重説

重要事項説明はなぜ重要なのか
宅地建物などの売買・賃借・委託契約においては、重要事項説明書に基づいて契約に関する重要事項を消費者に対して説明しなければならない決まりがあります。宅地建物だけでなく、保険販売やマンションの委託契約などにおいても重要事項の説明が必要です。
宅地建物の場合は宅地建物取引法という法律で定められており、宅地建物取引士が重要事項の内容を記載した書面に記名押印し、その書面を交付した上で、口頭で説明を行わなければなりません。つまり対面して説明することが必要なのです。
消費者の側からすれば、あくまで重要事項の「説明」であって、説明を受けたから必ず契約しなければならないというものではありません。しかし、例えば家という高額商品を買う場合には様々な不安が付きまといます。重要事項説明が義務化されていることで安心して契約でき、万が一業者が違反した場合は都道府県庁の建築指導課などに相談することもできます。

〈不動産業者の不正の例〉
・重要事項説明書に書かれていないことを説明する
・重要事項説明書を渡すだけで説明しない
・重要事項説明書の説明を一部省く
・宅地建物取引士以外が説明をする
遠隔で重説が受けられるIT重説
重要事項説明はアパートなどの賃借契約でも必要です。しかし、時間がない場合には煩わしいものでもあります。遠方に引っ越す場合であれば、わざわざ説明を聞くためだけに行き来したくないこともあるでしょう。
そこで2017年10月から、賃貸住宅の契約において一定の条件を満たす場合にはインターネット等を利用することで対面以外でも重要事項説明が認められるようになりました。これをIT重説と言い、スマホやパソコンのテレビ電話機能を利用して宅地建物取引士から説明を受けることができるようになっています。IT重説はまだ始まったばかりですが、IT・通信回線の充実に伴って今後普及していくと考えられています。IT重説には面談の日程調整が不要、すべてのやり取りがデータとして保存できるので言った言わないのトラブルになりにくいといったメリットもあります。
とは言えやはり対面での説明のほうが細かいニュアンスが伝わりやすいので、すべての物件に向いているとは言えません。例えば築年数が古いけれども賃料が安い物件であれば、じっくり状態を見た上で説明を受けて判断したいと思うでしょう。逆に築年数が浅かったり新築の物件であれば、耐震性能などはしっかりしているのであまり気にしなくても契約しやすいと言えます。