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ALC

穴だらけのコンクリート?
ALCとは「Autoclaved Light Weight Concrete」の頭文字を取ったもので、日本語では「軽量気泡コンクリート」と呼ばれます。住宅などの外壁材に使用され、多機能であることから世界各国で活用されています。
ALCとは、セメント等に発泡剤を混ぜて高温高圧で養生したコンクリートです。その素材にはセメントのほか珪石(けいせき)、石灰などの自然素材が用いられています。珪石とはガラスやセメントなどの材料としても使用されるもので、主成分に人体に害のあるものはなく、リサイクルも可能な建築素材となっています。
様々なメリット
ALCには様々なメリットがあります。まず、軽量であること。ALCには無数の気泡が形成されるため、重さは普通のコンクリートの4分の1ほど。水に浮くほど軽量です。そして外壁材が軽量だということは、建物への負担が軽くなるだけでなく、運搬・取り付け作業なども楽になるということ。工期短縮、コスト節減にも役立ちます。
内部にたくさんの気泡を持つALCは、断熱性にも優れています。夏は涼しく、冬は暖かく。冷暖房も素早く省エネで行うことが期待できます。
気泡は遮音にも役立ちます。気泡が音を吸収するため、音を通しにくいのです。例えば駅の防音壁としてALCが採用されているところもあります。
また、ALCには吸水性が高く乾燥しやすい特性があります。このためALCは調湿機能を備えています。
さらに、ALCは耐久性にも優れています。外壁材は過酷な環境にさらされるためにダメージを受けやすいものですが、ALCの場合は伸縮や反り、ひび割れが起こることがほぼありません。定期的なメンテナンス(5~10年ごと)をすれば、50~60年は持つとも言われています。
ALCのデメリット
とは言えALCにもデメリットはあります。まず、そのままの状態のALCには防水性がありません。それどころか無数に空いた穴からスポンジのように水を吸収するため、水を吸えばひび割れを起こしたり、寒冷地では凍結・剥離の可能性があります。そのため防水処理・防水塗装をしっかり行う必要があります。
次に、ALCはパネルになっているので、どうしても他の外壁材よりつなぎ目が多くなります。つなぎ目をふさぐシーリング材は耐用年数が短いため、経年劣化によって水が浸入する危険性が高まります。また、耐久性の高いALCですが、一点に集中する衝撃には弱く、鉄部のサビによる劣化が元で欠損を起こすこともあります。このためシーリング材の補修や定期的なメンテナンスが必須となります。
最後に、他の外壁材より少々価格が高いというデメリットがあります。理由はJIS規格を通った会社しか生産できないからです。逆に言えば、それだけ品質が高い製品だとも言えるでしょう。