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浮床工法

床を「二重」にする防音法
「アパートの壁が薄くて隣の話し声が聞こえる」「マンションで上階の足音がうるさい」など、多くの集合住宅に音の問題は付き物。また、一戸建てでも音に悩まされることはあり得ます。それゆえ建築には様々な防音対策が存在します。浮床工法もその1つです。
浮床工法とは、主に鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨コンクリート造(SRC造)の建物でコンクリートスラブと床材の間に緩衝材を挟むことで床の遮音性を高める工法です。二重床工法とも呼ばれます。
浮床工法では床材とコンクリートスラブなどの床構造材は離れて設置され、間はモルタルやグラスウールなどの断熱材で埋められます。これにより床の音が直接床構造体に伝わることがなくなり、遮音効果が高まるわけです。
遮音性能基準
床の遮音性能は「L値」という値で評価されます。L値は実際に聞こえる音のレベルのことで、振動数または固体伝播音と呼ばることもあります。L値は「重量床衝撃音(LH)」と「軽量床衝撃音(LL)」の2つに分かれ、日本建築学会では遮音性能基準と設計指針を定めています。LH、LLとも数値が小さいほど遮音等級が高くなり、特級ではLH-40またはLH-45(集合住宅居室)、LL-45またはLH-50(戸建住宅居室)が求められますが、学会では1級を標準としており、集合住宅ならLL-45またはLH-50です。LL45とは、イスの移動音や物の落下音等が小さく聞こえるレベル。3級まで行くと上階住戸の生活行為がわかるレベルになってくるので、使用者から苦情が出る確率が高いと言われています。
ちなみ床の防音対策にはカーペットやラグ、マットを利用する方法もあります。例えば防音カーペットの中には高い遮音効果を備えたものもあり、音が気になる集合住宅では重宝しそうです。
浮床工法以外の防音工法
浮床工法以外にも、防音フローリングや防音置き床を用いる防音工法があります。
防音フローリングは既存の床をフローリングに変える場合、裏面にクッション材を貼ったフローリングです。性能はLL40~LL45が一般的で、先述のとおり軽騒音をかなり防いでくれます。ただし、防音フローリングは構造上浮いている状態になるため、歩くと沈み込みを感じたりキャスターイスに弱かったり湿度による伸縮で隙間ができたりと、いくつかの点を注意して施工・使用しなければなりません。
一方、防音置き床はフローリングを張り付ける下地板を支える部分に防音ゴム材を取り付けます。一般的なフローリング材を直接固定するので、防音フローリングが抱える諸問題が起きづらいというメリットがあります。また、置き床と床スラブの間には空間ができるので吸音材を入れることもでき、防音性能をLL35くらいまで高めることも可能です。ただし、床の下地からリフォームするので、工事は比較的大規模になります。